昨年6月、石垣市で父親が当時3歳の長男を殴って死なせた事件の裁判員裁判で、那覇地裁(〓井広幸裁判長)は28日、傷害致死罪に問われた同市の洲鎌初被告(29)に、懲役6年の判決を言い渡した。検察側は懲役7年を求刑。弁護側は懲役3年程度、保護観察付き執行猶予5年の判決を求めていた。
判決理由で〓井裁判長は、洲鎌被告が発育が遅い長男にいら立った結果、犯行に及んだとした上で、「親としての分別を欠く、短絡的かつ身勝手なもの」と非難。「いまだ犯行当時はしつけのつもりであったと供述し、自らの心理状態や被害者を直視するには至っていない」と指摘した。一方で、反省文を書き、育児書を読むなど「被告人なりに反省の態度を示そうとはしている」と述べた。
判決によると、洲鎌被告は昨年6月19日、同市内の自宅アパートで、長男が言うことを聞かなかったことに立腹。長男の左頭部を力任せに2回殴り、左脳挫傷などの大けがを負わせて翌月死亡させた。
被害写真「真実見えた」裁判員会見
これまで県内で実施された裁判員裁判とは異なり、初めて被害者の「死」に向き合った裁判員。閉廷後、会見に応じたのは女性4人。法廷で検察側が提示した幼児の被害写真については、「真実が見えた」といった肯定的な意見を全員が述べた。一方、裁判員を務めた感想を求められると、人を裁く苦悩を吐露する場面もあった。
裁判員経験者は、被害の程度を示す写真について「怖かった」「痛々しかった」と口々に述べた。一方で、「厳しいものだったが、口頭だけではなく写真の中から真実が見えることがあるというのを感じた」(宜野湾市、アルバイト、20代)に代表されるような意見が相次いだ。
「裁判員をまた経験したいか」との問いには、「責任の重さを感じた」「予想以上に精神的な疲れを感じた」など、憔悴(しょうすい)した表情を浮かべた人も。「得るものがあった。もう一度やりたい」(糸満市、主婦、50代)、「責任の重みを感じた。次は遠慮する」(西原町、大学生、20代)と意見が分かれた。
同じ被害出さぬ視点持ち続けて
児童福祉の問題に詳しい沖縄国際大の山入端津由教授 家族という閉ざされた関係の中で起こる児童虐待は外からは見えにくいが、とても身近な問題だ。被告は「モンスター」ではなく、一人一人が今回の事件を自分のこととして受け止めないといけない。裁判員には、量刑を決めたら終わりではなく、同じような被害者を出さないために何をすべきかという視点を持ち続けてほしい。
※(注=〓は「吉」の旧字体。「土」の下に「口」)