[興南Vへの軌跡・センバツ初制覇](4)要所逃さず得点

豊富な戦術 光った試合巧者ぶり

決勝 興南―日大三 12回表興南1死満塁、三塁手の本塁悪送球で三走の幸良倫(右)が生還。走塁技術が光った=4月3日、甲子園

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2010年4月8日 10時00分

 「試合の中で一度は流れをつかむチャンスがくる。そこを絶対に逃さないこと」。我喜屋優監督が試合のポイントを聞かれたとき、必ず口にする言葉だ。

 打線は打ちまくったが、決して効率がいい攻撃とはいえないだろう。残塁48は、興南より通算安打数が2本多い日大三(東京)の42より多い。

 ただ、豊富な戦術を駆使し、ここぞの場面で1点を取る集中力には目を見張るものがあった。

 2回戦の智弁和歌山戦。1点を追う五回、2安打で3点を奪った。相手の野選、四球につけ込み逆転。さらに「バントは決して得意じゃない」という伊禮伸也は、サインの出た2球目に一発でスクイズを決めた。

 ゲージ内の打撃練習は球数を少なく制限して行うことがある。例えば4球と決めたら、その中できっちりバスターや、バントを決められるよう練習してきた。

 我喜屋監督は「出る、進める、返す。思いついた策は即実行する。一発勝負で決めなければならない。伊禮のスクイズも、相手の警戒が薄いあのカウントしかなかった」。

 堅守の帝京(東京)戦は足でかき回した。大城滉二と国吉大陸が決めたヒットエンドランはノーサイン。大城は単独スチールだったが、国吉は「ストライクが来たらショートの方向に打つと決めていた」。打球は遊撃手の逆をついた。

 4連打に2盗塁を絡めた。「守備がいいチームは守備から崩すのが鉄則」と我喜屋監督。帝京の前田三夫監督が試合後、「守備の乱れが大きかった」と口にするなど、ずばり相手の急所をついた。

 決して足の速い選手がそろっているわけではないが、大城は「先の塁を狙う積極性があるから、思いきって走れるのだと思う」。チームの盗塁11は大会トップで、犠打・犠飛15もダントツ。走者を進める、返す技術は秀でていた。

 三塁手の本塁悪送球で決勝点を奪った日大三戦。代走の幸良倫は「送球と重なるように走った」。選手が野球を高いレベルで理解し、実践する。大会を通して試合巧者ぶりが光った。

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