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普天間爆音訴訟の控訴審判決は、司法が普天間飛行場を「世界一危険」と認め、ヘリ部隊特有の低周波音被害に対する慰謝料算定に初めて踏み込んだことで、一定評価できる。ただ、住民らが願う飛行差し止め請求に対しては、最高裁判例を踏襲し、米軍の活動に国の権力が及ばないとする「第三者行為論」を理由に門前払いとした判断は、問題の本質から目を背けた司法の消極姿勢が問われる。(社会部・石川亮太)
一審判決同様、米軍機騒音の違法性を指摘したにもかかわらず、その違法状態に具体的な解決策を示さない司法の態度は、人権侵害を取り除く司法の役割放棄ともとられかねない。
住民側は控訴審で、米軍に基地を提供している国も「共同妨害者」として、その責任を認定するよう主張したが、判決では具体的な内容に踏み込むことなく、あっさり否定した。
一方で判決は、午後10時~午前6時までの飛行制限を日米合意した騒音防止協定について「形骸(けいがい)化している」として、運用を最優先する米軍の協定破りの常態化を指摘。その上で「国は同協定を順守させ、実行あるものにするための適切な措置を取っていない」と、国の不作為を非難し、国に対してより一層踏み込んだ米軍への対応を求めている。
国はこの判決を真摯(しんし)に受け止め、国民の安全と平穏を守ることを最優先に、騒音の軽減が図られるよう毅然(きぜん)とした態度が求められる。
控訴審判決を受け、住民側は飛行差し止めの実現に向けて最高裁に上告する方針だ。これまでの訴訟同様に、賠償金の支払いだけでは根本的な解決策にならないのは明白だ。違法な米軍機騒音をなくすには、司法が人権の砦(とりで)として、被害を正面から受け止め、国に対して積極的な判断を示さない限り、米軍基地周辺住民の「痛み」は続く。
知事ら評価と落胆の声
騒音軽減に力を
仲井真知事
仲井真弘多知事は29日、控訴審判決に対し、「新たに低周波音による被害との因果関係を認めるなど、一審判決同様、騒音被害に苦しむ原告の主張の一部を認めた」と一定評価するコメントを出した。その上で、「日米両政府は今回の判決を踏まえ、普天間飛行場の騒音軽減などに努めるべきだ」との見解を示した。
また、「地域住民の生命、生活および財産を守る観点から、(日米両政府に対し)早期返還の実現と一日も早い危険性除去、騒音軽減を粘り強く求めていく」との従来姿勢を示した。
早期閉鎖求める
伊波宜野湾市長
伊波洋一宜野湾市長は控訴審判決を受け、「普天間飛行場の特殊性である低周波音の影響や、クリアゾーンの不備が認められたことは一定の評価ができる」と述べた。
また、賠償額の増額については「飛行場周辺住民の受忍限度を超えた爆音被害を認めたものだ。しかし、飛行差し止めや騒音測定義務が再度却下されたことは残念と言わざるを得ない」との認識を示し、市が国を提訴することを含め、今後も日米両政府に早期閉鎖・返還を求める考えを強調した。
国の主張を理解
榛葉防衛副大臣
防衛省の榛葉(しんば)賀津也副大臣は29日、「国の主張について、おおむね裁判所の理解が得られた」とのコメントを発表した。上告するかについては「判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整の上、適切に対処したい」と明言を避けた。
また、普天間周辺住民の負担軽減を図るためとした上で、「防衛省として、早期移設・返還に向け努力するとともに、今後も引き続き周辺の生活環境の整備などに一層努力していきたい」との見解を示した。
日本政府の問題
在沖米海兵隊報道部
在沖米海兵隊報道部は29日、沖縄タイムスの取材に対し「日本の司法判決は地元県民と日本政府の問題であり、米海兵隊がコメントをするのは適切ではない」と答えた。
普天間飛行場周辺の爆音被害については「航空機騒音を軽減するため、いくつかの手段を実施しており、今後も取り組みたい」としたが、具体的な対策には言及しなかった。