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米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる仲井真弘多知事と福山哲郎、瀧野欣彌両官房副長官との2時間半を超える会談は、意見交換ではなく、ほぼ政府側の説明に終始した。政府関係者は「ようやく地元と協議ができるかどうかのスタートラインに立った」と県との協議に向け一定の条件を満たしたとの安堵(あんど)感を漂わせる。だが、仲井真知事自身は会談後、「納得いく説明には遠い。(県内移設案は)不可能に近い」と述べ、政府に歩み寄っていないとの姿勢を強調した。双方の認識は大きく異なったまま、問題解決の道筋は依然として見えない。
「なぜ辺野古に戻ったのか」。政府側は、移設候補地として検討した徳之島と沖縄本島との距離が海兵隊の運用を満たさなかったことや、朝鮮半島情勢、中国海軍の活動状況などを理由に挙げたという。だが県が求めたのは民主党の考え方やその変化であり、政府の「説明」とは認識がずれていた。
外務省幹部は「辺野古に落ち着いた経緯説明は、官僚には無理。福山さんがどの程度話せるかだが、彼も直接やっていた訳じゃない」と不安視していた。
会談では、防衛・外務省の担当者が5月末の日米共同発表の逐条解説に終始。福山氏は冒頭のあいさつ以外、ほとんど発言しなかったという。
「極めて厳しい」「県だけでなく、政府の責任で県民や地元自治体(名護市)にも説明するのは政府の責任だ」と繰り返した仲井真知事に、福山氏は「今度も誠心誠意説明したい」と答えるにとどまったようだ。
日米共同発表には普天間移設以外にも、在沖米軍基地から生じる県民の負担軽減策も盛り込まれた。県幹部は「政府高官が説明した事実は重く受け止めるが、あっと驚く新事実、納得できる要素は皆無だった」と漏らす。
知事の強硬姿勢に防衛省幹部は「知事選を控えた発言。県民と国の板挟みに遭っている」とおもんばかり、「知事の立場を悪くするようなことはしたくない」と寄り添う姿勢を見せる。
政府内には負担軽減策を具体化すれば、仲井真知事が最終的に埋め立てを認めるとの淡い期待感がある。
一方、会談に臨んだ県幹部は「県は川を挟んで対岸にいることが政府に分かったのでは。川の流れは濁流だ。県のスタンスはぐらつかない。知事選うんぬんではなく、困難な場面が続く」と柔軟姿勢に転じる可能性を否定した。(政経部・吉田伸、東京支社・西江昭吾・前田高敬)