[中国人観光客誘致]斬新な発想で売り込め

2010年8月19日 09時13分

 ジンベエザメやマンタが悠々と泳ぎ回る巨大水槽を眺めながら会議をする。日常性から離れた異空間の中では議論が活発化し、ユニークなアイデアが浮かんできそうだ。

 本部町の沖縄美ら海水族館を管理する海洋博覧会記念公園管理財団が10月から来年2月まで、ちょっとびっくりするような実験を始める。

 MICEと呼ばれる企業の会議や研修旅行、国際会議などさまざまなイベントを巨大水槽に隣接するカフェで開く。冬場の閉館後の4時間、100人規模を想定している。

 沖縄観光コンベンションビューローと受け入れ団体を決める。水槽内の生物への影響を調べ、来年度から本格的な導入を検討するという。新しい試みとして注目したい。

 海など豊かな観光資源だけを頼りにした待ちの姿勢ではいけない。政府は、7月から中国人の個人向け観光ビザの発給要件を緩和し、従来の富裕層から、中間層に観光客のターゲットを広げている。

 巨大マーケットを取り込まない手はないが、2009年度に沖縄に入った外国人観光客は台湾、香港、中国、韓国の順で、中国は1万8千人にすぎない。歴史的付き合いは長いが、沖縄の知名度は決して高くない。観光客の需要は世界的にみても、経済成長を続ける中国など東アジアにあるといわれており、強力なプロモーションが必要だ。

 中国の個人観光客の開拓はこれからである。県、県経済団体会議、観光関連の代表らが現在、香港、上海、北京などを回り、沖縄観光を「トップセールス」しているのはタイミングをとらえている。

 09年度に沖縄を訪ねた観光客は569万人。8年ぶりに前年度実績を下回った。ことしに入ってからは7月まで6カ月連続で前年を上回り、持ち直したかのようにみえるが、円高傾向が続き、海外へのシフトが懸念されている。

 一方で外国人観光客は過去最高を記録した。といっても、24万6200人で、県が目標にしていた30万人に届かないのが実態だ。

 台湾の対中国交流窓口機関「海峡交流基金会」の江丙坤理事長の提案は傾聴に値する。台湾と中国は「経済協力枠組み協定」(ECFA)を結んだばかり。江氏は台湾―沖縄間がノービザであることに着目。急速に伸びる中国大陸から台湾への観光客を沖縄に運ぶ三角観光を提唱している。どうすればその仕組みが実現するか、県は本気で取り組んでもいいのではないか。

 沖縄をロケ地に、日・中・台共同のテレビドラマが撮影され、放映される。人気のリゾートウエディング、がん検診や人間ドックを受ける医療観光も可能性を秘めている。

 中国人観光客の獲得は沖縄にとって周辺諸国も国内も競争相手だ。東京―大阪間の名所を網羅するゴールデンルートが人気で、初来日の個人観光客が最初から沖縄を選択するのは難しいかもしれない。

 沖縄は中国語を話せるスタッフ、中国のカードが使える端末、中国のテレビが見られるサービスの充実に力を入れる。新たな魅力をつくり、売り込む戦略を立てたい。

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