| ||
暴力団の資金源とされる野球賭博に関与した角界関係者が底なしの広がりをみせている。力士を指導する立場にある親方の名前まで挙がり、汚染がまん延している実態を示している。角界は存続の危機に立たされているといっても過言ではない。
長期間にわたってつくられた賭博容認の体質は、簡単に一掃できるものではない。相次ぐ不祥事をみても分かるように、もはや、日本相撲協会の危機管理能力と自浄作用にはとても期待できない。
臨時理事会で外部の有識者だけをメンバーとする調査委員会を発足させたのは、情けないが、自力で解決できない現状では仕方がない。
調査委は警察OBや大学教授、弁護士らで構成する。賭博行為を認めた上申書を提出したのは65人で、うち野球賭博への関与者は29人である。調査委は独自に事情聴取するなど実態調査を進め、処分を決める考えだ。
協会は文科省所管の公益法人である。税制上の優遇措置や補助金を受けている。
川端達夫文科相は7月11日に開幕する予定の名古屋場所について「開催は前提ではない」と語っているが、当然である。
武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は調査委の報告を待って7月4日の臨時理事会で実施するかどうか決めることを明らかにした。
協会が野球賭博など暴力団ときっぱり手を切る具体的な処方せんを示すことができなければ、名古屋場所を中止することもやむを得ない。
大嶽親方(元関脇貴闘力)、時津風親方(元幕内時津海)の関与が判明し、角界は上も野球賭博にまみれている。
それだけではない。協会トップ武蔵川理事長の弟子で元大関の幕内雅山、理事の九重親方(元横綱千代の富士)の弟子で十両千代白鵬が関与を認めた。武蔵川理事長らの監督責任は免れない。
阿武松(おうのまつ)親方(元関脇益荒雄)の阿武松部屋に所属し、まげを結う床山が胴元と琴光喜を仲介したとされる。同部屋は約半数に相当する10力士が関与しており深刻だ。
暴力団関係者から賭博の口止め料を要求された琴光喜は3親方に相談していた。大嶽、佐ノ山(元大関千代大海)、時津風の3親方である。大嶽親方は3月の大阪場所中に琴光喜とともに、暴力団関係者との交渉の場に同席していた。親方らは協会に報告したのか、大嶽親方は何のために同席したのかなど、調査委は徹底的に究明してほしい。
琴光喜は自主的に名古屋場所の休場を決めている。臨時理事会では賭博関与者の実名を公表しなかったが、賭博を認めた力士が隠蔽(いんぺい)したまま名古屋場所の土俵に上がることになれば、相撲どころではなくなるだろう。
協会は特殊な因習にどっぷりつかった閉鎖社会から脱皮するためにも、ふんどしを締め直し一から出直す覚悟が必要だ。公益法人の国技としてあり続けるのか、一民間企業の興行に堕するかの瀬戸際である。あしき慣習から決別することができなければ、国技は沈んでいくばかりだろう。