[中国定期便]アジア視野に未来図を

2010年8月25日 09時43分

 香港航空(香港)が来月から香港―那覇間の定期便を運航することが決まった。また同社親会社の海南航空(海南省)が北京―那覇間への乗り入れを申請中で、早ければ年内就航が実現する。いよいよ沖縄もアジアゲートウェイにつながっていく。

 香港―那覇間はすでに海南航空の別の子会社が週6便の定期便を運航している。定期便の増加によって巨大市場にぐっと近づくことになる。それが何をもたらし、どう身構えればいいのかといったテーマを含め、沖縄産業全体の大計を描いておく必要がありそうだ。

 昨年7月に条件付きながら中国個人観光客へのビザ発給が解禁されたことで、国内各地で中国人を呼び込む観光商戦が活発化している。日本のみならず韓国、台湾、ハワイなども誘客に躍起だ。

 北海道をロケ地とした映画がヒットし、中国で北海道観光がブームになっているほか、韓国の宮廷料理を題材にした韓流ドラマの影響で韓国料理を目当てにする中国人が増えているという。

 台湾でも台北市内の免税店や故宮博物院は連日大陸からの観光客でごった返す。

 今後も中国人観光客の争奪戦は激しさを増すだろう。沖縄はどの観光メニューで誰をターゲットに誘客するかといった観光戦略を早期に確立する必要がある。

 仲井真弘多知事らが先ごろ中国を訪問した観光プロモーションで、中国当局者から「ノービザ特区」の実現を求められた。ソフト、ハード両面の受け入れ整備が急務だ。

 観光を主力産業と位置付けるべきかどうかの賛否はあるものの、人や物の往来の中からビジネスが生まれるのは言うまでもない。

 中国人へのビザ発給は2004年に35万件で、08年は75万件に倍増した。観光庁は、19年に外国人観光客全体で2500万人(09年の約3・5倍)の目標を達成すれば、経済効果は14兆円、雇用波及効果は82万人になると予測している。

 これら全体のパイをどれだけ沖縄に引き寄せられるかが勝負となる。

 本年度の海外からのチャーター便は中国の北京、成都、重慶やタイなどと那覇間のほか、石垣―台北を合わせて400便を超え、過去最多となる見込みだ。中国や東南アジアとの間で「人、物、情報」の往来を自由化させ、沖縄が経済・文化交流の結節点となる―という県が描いてきた構想はいま現実味を持って語れるだろう。

 東シナ海を囲む中台沖(琉)の経済トライアングルにはまだ多くのハードルがあるだろうが、近未来に開花するよう種をまいておきたい。

 台湾海峡、尖閣諸島といった安保上の懸念を理由に沖縄米軍基地を固定化させる旧来の言論にもはや説得力はない。台北市で中国人を乗せた観光バスが免税店に吸い込まれていく光景を見るだけで、従来の前提が崩れたことを実感するからだ。

 アジアゲートウェイで沖縄の生き方を模索する時代が到来した。

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