[オスプレイ騒音]二重基準の人権無視だ

2012年1月27日 09時02分

 米軍普天間飛行場へことし後半にも配備されるという垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの騒音基準が、米国内では極めて厳しい規制を受けることが明らかになった。

 県内では同飛行場移設に伴う環境影響評価(アセスメント)の評価書で初めて騒音レベルの予測が出たが、オスプレイ配備に向けた米本国と沖縄での対応には雲泥の差がある。新たな不平等を生むような配備を許してはいけない。

 米国内の厳しい規制とは、米ハワイ州・カネオヘベイ海兵隊基地に対する米環境保護庁(EPA)の騒音低減勧告だ。同基地では普天間と同時期にオスプレイを配備するため、アセスの手続きを昨年来進めている。

 EPAは、オスプレイなど航空機が学校区の上空を飛ぶ際の騒音を55デシベル(静かな乗用車内)としていた海兵隊に待ったを掛け、米連邦航空局の基準を適用し、平均45デシベル(静かな事務所)に抑えるよう勧告していた。

 月曜から金曜の午前8時から午後3時までという子どもたちが学校で学ぶ時間帯に限ってはいるが、学習環境の確保を優先し、基地の運用を厳しく制限したものだ。

 一方、県内ではオスプレイの配備時期が迫っても、依然として普天間配備に向けたアセスは実施されていない。ことし初めに防衛省の評価書で明らかになった、オスプレイの辺野古周辺15カ所での騒音予測は、78~47デシベル(固定翼モード)で、最大値は地下鉄の車内に相当する。最小値でもEPAが勧告した水準を上回っている。

 考えてほしい。わが子の頭上で、けたたましい騒音を立てて学習を妨げても構わないという人はいないはずだ。ハワイでは厳しい制限を設けて子を守り、沖縄での学習環境は脅かす。

 こうした騒音に対する二重基準(ダブルスタンダード)は、生存権や教育を受ける権利など基本的人権をないがしろにし、県民を愚弄(ぐろう)する以外の何ものでもない。

 普天間飛行場周辺には、宜野湾市内の小中高校だけでも17校あり、1万人余が今も爆音の中、学んでいる。普天間爆音訴訟で、騒音の違法性が認められてもなお、現状は放置されたまま、何も変わっていない。

 さらに、オスプレイは、騒音だけでなく、航空機としての安全性さえも疑われている。日米両政府には、危うい機種の配備ありきではなく、「世界一危険」と称される基地周辺の危険性を真っ先に取り除くよう強く求めたい。

 今回のEPA勧告は、あらためて日米の環境影響評価に対する考え方の違いを浮き彫りにした。人の生活環境を優先して軍事施設の悪影響を回避する米側に対し、日本は施設建設ありきが色濃く、普天間への新機種配備にも手が出せない。

 辺野古移設に向けて県が専門家から意見を聞くアセス審査会も27日、2回目の会合を開く。防衛省OBの天下り企業が受注したアセス調査の信頼性も含め、日本のアセスのあり方を沖縄から是正する議論を期待したい。

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