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数年ほど前、円形脱毛症が頭全体に広がって地肌が見え、このまま抜け止まらないのではないか、と恐れた時期がある
▼同時に、ギョッとする人や目をそらす人の顔を見るストレスを考え、途中からウィッグ(かつら)をかぶった。1年半ほどで脱いだが、眉毛などまで進行していたらどう対処しただろうか、と今でも考える
▼脱毛症のほか、顔に生まれつきのアザややけど、傷などがあることから偏見にさらされたり、当事者が問題を抱え込んだりすることを「見た目問題」という。数年前からいくつかの当事者団体がつながり、声を上げている
▼発行する季刊誌「マイ・フェイス」によると、国内には80万~100万人いると推計されている。が、最近まで治療の緊急性がないこともあって、社会的な問題としてとらえられなかった
▼顔の左側にアザが広がる男性がインタビューを受けている。高校時代は、将来ホームレスになると「暗黒時代」の青春を送ったが、就活を通して自己分析し、営業先で客にアザのことを問われても動揺せずに答えられるようになった。「もう何を聞かれても大丈夫って覚悟」している
▼当事者が悩みながらも自分にとことん向き合い、生きる姿は心に響く。「耐えた先に生まれる強い笑顔」に、しっかりとした笑顔で応える社会でありたい。(与那嶺一枝)