安倍政権の看板政策「待機児童ゼロ」の目標達成が3年先送りとなる。「保育園落ちた」ブログに象徴されるように当事者にとっては切羽詰まった問題である。政府の見通しの甘さは否めない。

 安倍晋三首相はきのう、認可保育所などに入れない待機児童の解消に向けた新たな取り組み「子育て安心プラン」を発表した。

 2018年度から始める計画で、遅くとも20年度末までに22万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を解消するという。

 安倍政権は女性活躍を進める上で、待機児童の解消を重要政策に位置付けてきた。現行の「待機児童解消加速化プラン」は13年度からの5年間で保育サービスの定員を50万人分増やし、17年度末までに待機児童ゼロの実現を目指すものだ。 

 その計画を軌道修正し、目標達成時期を後ろ倒ししたのが新プランである。

 確かに施設整備は進んでいる。しかし保育需要の伸びに受け皿づくりが追いついていないのが現状である。

 13年4月に2万2741人だった待機児童数は16年4月には2万3553人と増加。育児休業などを理由に集計に含まれない「隠れ待機児童」は6万7千人を超えている。

 「働く女性が予想以上に増えたため」と政府は説明するが、女性活躍の旗を振り就労拡大を訴えてきたのは安倍政権である。

 希望を持って仕事と子育ての両立を選択したのに、保育園が見つからず離職せざるを得ない女性たちからすれば、はしごを外された格好だ。

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 待機児童の背後には隠れ待機児童がいて、さらに後ろには近くに保育園ができたら子どもを預けて働きたいと考える親たちがいる。

 女性の就業意欲の高まり、共働きでなければ家計が維持できないという経済事情も相まって、需給のずれが生じているのではないか。

 この春、那覇市の認可保育園で、児童640人が希望園に入園できなかったにもかかわらず、701人の定員割れが生じるという出来事があった。

 指摘されたのは、受け皿づくりと地域や年齢による保育ニーズとのミスマッチである。

 需要の伸びの見極めは容易ではないが、地域別に希望する保育園や待機児童の数、親の就業意向などを調査し、予測の精度を高めていく必要がある。

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 保育園はできたものの保育士が集まらず受け入れが進まないという保育士不足も全国的な問題だ。

 根っこにあるのは全産業平均より9万円弱低い保育士の待遇である。賃上げやベテラン保育士への処遇改善策が示されたとはいえ、まだ足りない。

 新たな計画も予算の確保がネックとなっている。待機児童対策の安定的な財源として期待されていた消費税率の引き上げは安倍首相により2度延期された。

 首相には施設整備や人材確保に振り分ける財源についての説明を求めたい。