まだまだ私は女。男を楽しませるすべもある、体だって…。なのに誰も私の中の女に気づかない。だから私も気づかないふりをする。

「20センチュリー・ウーマン」の一場面

 40歳の時に産んだ息子を女手一つで育てて15年のドロシア。思春期の息子が母に向けて朗読したのが、前述したような内容の詩。ほぼ図星。出産後すぐに離婚、それでも白馬の王子様の出現を完全には諦められない55歳。憤慨し、叫ぶドロシア。「そう思ってるの? わかった気にならないで!」。完全に同意。

 わかった気じゃなく、私の全てをちゃんと理解して!もっと複雑なの!わからない?あふれ出る自分がドロシアに重なる。彼女の台詞(せりふ)の端々に、20年後の自分が言いそうなフレーズを発見し絶望する。絶望は物語の認識をどんどんゆがめていく。理解されたい女たちが15歳の少年相手に自分をさらけ出し続ける2時間。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で6月3日から上映予定