何やら最新医療を思わせるタイトルですが、今回のテーマは現代医学と東洋医学、とりわけ漢方薬の併用治療についてです。

 われわれ医師は現代医学を学び、診療を行います。最近は遺伝子レベルでの診断、治療が可能になりその発展は周知の通りです。しかし、それだけで全ての患者が満足に治療されているわけではありません。

 現代医学が見落としている病態は多くあり、特に寒熱、静脈循環、水の偏在については十分認識されているとはいえません。

 たとえば現代医学で頚椎(けいつい)椎間板ヘルニアと診断された患者がいるとします。頚部(けいぶ)や肩、上肢のしびれ、疼痛(とうつう)に対し通常は鎮痛剤、理学療法を施しますが、除痛されるまで時間を要することが多いです。

 その場合には、漢方療法の併用が有効な場合があります。漢方療法では患者の脈を触れたり舌を診たりして寒熱、静脈循環、水の偏在を見極め、異常に対応する薬(方剤)も豊富です。特殊な漢方学的診断ができなくても問診で異常を知ることができます。

 冷えを伴うかどうかはクーラーの下で痛みが増すか、入浴で痛みが軽くなるかと問うだけです。冷えを伴っている場合、漢方治療では神経や筋肉を温める方剤を併用します。漢方薬単独でも効果はあります。

 静脈循環が悪い場合は「駆お血剤」(静脈循環改善薬)を併用します。この場合、夜間に痛みが増悪しないか(安静時は筋肉が収縮しないので静脈循環が滞ります)、下肢に静脈瘤(りゅう)がないかなどで分かります。これには現代薬はほとんど無効です。

 水の偏在(過剰)があれば利水剤(単なる利尿剤ではない)で過剰な水分を汗や尿で排泄(はいせつ)する方剤を併用します。雨の日に痛みが増すか、むくみやすいかなどと問います。

 肩こり、頭痛、生理痛、四肢のしびれ、腰痛など、はっきり原因や診断名が分からないことは多く経験されるでしょう。現代医学的診断がつかない病気でも、漢方学では寒熱、静脈循環、水の偏在を把握し、適切な方剤投与で治ることも多いのです。

 この場合でも重大な病変がないことを確認するための診断に、現代医学は必要なのでハイブリッド療法といえます。他に漢方薬はがんの放射線治療、抗がん剤治療の副作用の軽減にも役立ちます。

 漢方治療を併用する医師は徐々には増えているようですが、沖縄ではまだそう多くはないようです。内科、外科、整形外科、産婦人科など各科の専門医が現代医学と漢方医学の複視眼で患者を診て、県民の多くがハイブリッド療法の恩恵にあずかることを願います。(ヒデ整形クリニック 坂元秀行)