東日本大震災の現地調査をした関西大学社会安全学部の高橋智幸教授が20日、那覇市のパレット市民劇場で講演し「南海トラフ巨大地震が起きた場合、沖縄に5メートルの津波が来ると予想されているが、それを上回る可能性がある」として備えを怠らないよう呼び掛けた。沖縄の土木技術を世界に発信する会が主催した。

 宮城県は岩手県に比べ遡上(そじょう)高(津波が海岸から内陸へかけ上がる高さ)が低かったが、被害が福島を含めた3県で最大だったことを指摘。「川をさかのぼる力よりも、内陸を襲う浸水の方が力が強く、平野部での被害を拡大させる」と解説した。

 震災時、関東で10メートル、北海道で5メートルの遡上高を観測したことを踏まえ「地震の影響は、震源地に近い地域だけにとどまらない。過去の予想にとらわれず、過小評価を避ける必要がある」と強調した。

 併せて行われたシンポジウムで高知県黒潮町の大西勝也町長は、避難放棄者を出さないための取り組みを紹介した。

 南海トラフ巨大地震で震度7、34メートルの津波が想定される同町では、世帯ごとに避難場所や近所の介助者の有無などを記した「津波避難カルテ」を、全職員が住民と一緒に作成。「コミュニティーが活性化し、防災リスクの把握につながっている」とした。