名護市辺野古の新基地建設の現場で、抗議活動を続ける市民に対して、海上保安庁や警察の強権的な姿勢があらわになっている。繰り返される拘束や排除、もみ合いで、けが人が相次ぐ異常な事態だ。

 沖縄防衛局が新基地建設に向けた海上作業を再開した15日、キャンプ・シュワブのゲート前に座り込んでいた80代の女性が機動隊から排除される際に頭部を打撲。16日にはカヌーに乗って抗議行動に参加していた男性が海保職員に取り押さえられあばら骨を折った。20日にはビデオを回していた女性が手首などを負傷、21日には女性2人が転倒して救急搬送、23日には男性が手にけがをした。

 知事選や衆院選で中断していた作業が本格的に再開してから、わずか1週間余りの出来事である。

 名護市長選に始まり、知事選、衆院選沖縄選挙区で「新基地ノー」の民意が示されたにもかかわらず、新知事と会おうともせず工事を進める強硬な姿勢は、これまでのどの政権と比べても際立ち、とてもまともな対応とはいえない。

 2004年、那覇防衛施設局がボーリング調査のため、海域に単管やぐらを設置しようとした時、住民の阻止行動に遭って調査を断念したいきさつがある。

 防衛庁は反対派の強制排除を求めたが、海保は「強制排除を執行すると、流血の事態を招く恐れがある」と拒否したという。(守屋武昌著『「普天間」交渉秘録』)

 海保の対応が大きく変化したのは、官邸からの指示であろう。

    ■    ■

 海保や警察へ積極的な対応を促したのが、自民党の島尻安伊子参院議員だ。

 昨年2月の参院予算委員会で島尻氏は「違法な妨害活動は阻止しなければならない。海保と警察の積極的な対応が必要」と質問。安倍晋三首相や関係閣僚に「先んじた対策」を要請した。

 「県外移設」を公約に掲げ当選した地元議員が、国の警備強化を平然と求めたのである。

 政府の作業強行には、移設の既成事実化を進めたい思惑もある。「反対してもどうにもならない」との空気を醸成し、諦めさせることが常とう手段だからだ。

 昨年7月、暑さの盛りに始まったキャンプ・シュワブ前での座り込みは200日を超えた。高齢者が目立つ反対運動の現場は「諦めたら沖縄の未来はない」との気持ちに支えられている。

    ■    ■

 いくら海保が「安全確保のため」と釈明しても、これだけけが人が出ているのだから、警備の行き過ぎは明らかである。政府は工事を中断し、県の考えを聞く場を設けるべきだ。

 新基地建設に反対する翁長雄志知事は、このような事態に毅然(きぜん)とした態度で強いメッセージを発信してもらいたい。

 辺野古移設計画の見直しを求め国内外への働き掛けを強めるとともに、埋め立て承認に瑕疵(かし)がなかったかを検証する第三者委員会の作業も急ぐ必要がある。