脳腫瘍で琉球大学医学部附属病院に入院していた少年(享年10)は学校が大好きだった。大人でも音を上げる抗がん剤治療の副作用を押して、車いすで通い続けた

▼いよいよ病が進行し通学できなくなった少年に、担任は病室での授業を提案した。「学校に行けなくなる、と泣く彼を見た時、教師として何ができるか考えた」と話し、病室での授業は少年が亡くなる1週間前まで続いた

▼小児医療の取材で出合った話だ。学校生活は、大人が考える以上に子どもに影響を与えると知った。中でも教師との出会いは、死という人生最大の岐路を前にした子どもの支えにもなることに、感動を覚えた

▼一方で教師は時に子どもに大きな傷を残す存在となる。本紙が21日報じた小学校教師によるいじめ問題は、半年近く続いた教師の不適切な言動により1人の児童が登校できなくなった

▼いじめのトラウマか、児童は自傷行為や嘔吐(おうと)、発熱を繰り返し心身症の診断を受けたという。子どもにとっての教師の存在の重さを思えば、児童の困惑と悲しみの深さは想像に難くない

▼昨年10月の保護者の相談後も、学校が教師へ何の対応もとらなかったことにも疑問が残る。結果として児童から学ぶ時間を奪ってしまう形になったが、その大切な時間を取り戻す責務こそ学校にあると思う。(黒島美奈子)