【市塚和枝通信員】イタリアで、日本人やイタリア人の子どもに日本語を教えている沖縄の若者がいる。うるま市石川出身の伊良波千明さん(26)は、ミラノ市の北、スイスとの国境の町、バレーゼ市に在住し、毎週、約1時間半かけてミラノ市内にあるミラノ補習授業校へ通っている。

子どもを指導する伊良波千明さん(手前左)=ミラノ補習授業校

 この日本語補習校は1981年に、日本語を自分の子どもに教えたいと言う父母の希望で最初は小さなグループからスタートした。

 ミラノ日本人学校の校舎を利用し、その児童・生徒数は197人。生徒もさまざまで、日本からの駐在員の子息、現地の人との間に生まれた子、また、日本語に興味のあるイタリア人の子どもたちも通っている。

 毎週土曜日に午後3時間の日本語の授業がある。幼稚部から高校の部まで日本語の授業を主体にし、高学年では日本語の授業と合わせ、社会、歴史の授業も組み込んでいる。この学校からは、ヨーロッパの大手企業で働いたり、通訳者として活躍する人材も、たくさん輩出している。

 伊良波さんは、その補習授業校の先生として働き始めたばかり。2011年に日本語教授法を学ぶため、スウェーデンヨーテボリ大学文学部に交換留学。留学中に、ヨーテボリ日本人補習校でアシスタントをしたのがきっかけで、帰国子女のための日本語(国語)教育に興味を持つようになった。

 13年3月に、琉球大学の英語科を卒業後、同9月、イタリア語を学ぶため、ミラノ国立大学文学部に入学し、ミラノ補習授業校でアシスタントを務めた。小学部1年生、小学部日本語クラス、中学部日本語クラスを経験後、現在幼稚部の19人を担当している。

 イタリアに来て1年半がたち、生活にも慣れてきた伊良波さんは「陽気でお喋り好きで他人にも親切なイタリア人の性格は、ウチナンチュとよく似ているので親しみやすい」という。

 イタリア人の親や教師から学んだことは、「褒めて伸ばす」教育をすること。親が子どもの自慢をするのは当たり前で、教師も生徒のどんなささいな言動も、とりあげて褒めていることに驚いた。成長の過程で誰かに褒められるとそれが自信となり、特に言語を学ぶ上ではそれが発話につながるので、とても重要な教育スタイルだと感じた。

 子どもたちに分かりやすい言葉で説明すること、また質問や提案の仕方を工夫して、子どもたちが進んで授業に参加しやすくなるよう、心掛けている。

 伊良波さんは「今後、指導経験を積んで帰国子女だけでなく、現地の人との間に生まれた子、またアメラジアンの児童・生徒の教育の方向性を見つけていきたい」と抱負を語った。