岩合光昭写真展「ねこ」が7月15日の浦添市美術館(沖縄県浦添市)での開幕まであと1カ月となった。全国でこれまで130万人以上の観客が魅了された写真展の沖縄初開催。愛情あふれるネコの写真を撮り続けている岩合光昭さんに、ネコとの関係や思いを聞いた。(聞き手=西江昭吾東京支社報道部長)

 いわごう・みつあき 1950年東京生まれ。地球上のあらゆる地域をフィールドに活躍する動物写真家。その美しく、想像力をかきたてる作品は世界的に高く評価されている。一方で身近なネコの撮影も40年以上ライフワークとして続けている。2012年からNHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」の番組撮影を開始した。ネコに関する著書に『ねこ』『ねこ歩き』『ネコライオン』『岩合光昭の世界ネコ歩き』『ふるさとのねこ』『ねこのとけい』『とらねこ』『ねこの京都』『ねこ科』などがある。
ネコの家族が出迎えてくれます。島根県・出雲市(c)Mitsuaki Iwago

 きっかけは一目ぼれ

 -ネコへの愛情が育まれたいきさつや接点は。

動物写真家の岩合光昭さん

 「東京・蒲田で育ち、ネコとの接点はあまりなかった。高校生の時、友人宅へ遊びに行ったら28匹のネコがいた。友人が一番かわいい子を肩に乗せて、初めて手の届く距離でネコの顔を見たら、恥ずかしい話だが、涙が流れてきた。一目ぼれした。それ以来、ネコは好きな動物になった」

 「大学生の時、雨の日に電信柱の下に段ボールが置いてあり、開けたら子ネコが2匹入っていた。家に連れて帰って育てた。最初の飼いネコになった。父親が新聞社のカメラマンだったので、家の中に本や雑誌がたくさんあり、その中にネコの写真集があった。『僕もこういう写真を撮りたい』と思い、自分の家のネコを撮ってみたら、難しいんですよ。それからネコの写真を撮るようになった」

 -職業としてカメラマンとなってからもネコの写真をたくさん撮っている。

 「野生動物と同時並行で家畜の世界も撮っていた。当時、共に暮らしていたネコ(海ちゃん)も一生懸命に撮った。だんだん写真がたまってきて、本を作れるかなと。(プロとして)最初の写真集はネコだった」

 ふと見せる野生 面白い

 -ネコと人の関係性をどうみている?

 「犬は人の命令をよく聞く。明らかに家畜化されたと思う。一方、ネコは聞かない。どうしてかというと、ネコは家畜になってくれたんだと思う。そこが犬との違い。家の中にいるネコを捕まえようとすると、すっと逃げる。気ままで、思った通りに動かない」

 -ネコの魅力とは?

 「40年以上撮り続けているが、やっぱり分からないところですね。ネコってそんなことするの、と感じることが今でもある。例えば先日、欧州ロケで出合った、炭焼き職人と暮らしているネコ。炭焼きの窯の上にいて、職人がまきをたいて炭を作ると、僕らは煙たくて、せきが出てしょうがなかったが、ネコは平然と座っている。犬もいたが、煙が来たのですぐ引き返した。タイの少数民族の所に行った時、囲炉裏端にネコがいて、灰だらけになっても一日中そこから動かない」

午後の眠い時間。奈良県・明日香村(c)Mitsuaki Iwago

 -岩合さんでも新たな発見があるんですね。

 「ネコと接してると、日々ありますね」

 -ネコの表情やしぐさで好きなものは?

 「人を見て小首をかしげる姿ももちろん好きだが、体に秘めている野生を見せてくれる時が面白い。高い所で跳びはねたりする動きの格好良さとか。僕たちの体の中にある野生が、ネコに呼び覚ましてもらえる」

 未知の魅力 冒険心を刺激

 -なぜ人間はネコにひかれるのか。

 「やはり分からないところがたくさんあるからじゃないかな。見た目のかわいさだけではない。ネコの未知の部分が、僕たちの冒険心や探検心をくすぐるのではないか」

 -ネコの写真をうまく撮るこつは。

 「ネコはかわいいだけじゃなくて、いろんな表情がある。僕は、最初は離れて撮り、ネコが自然の動きをするなら近づいていく。ネコがじーっとこっちを見ていれば、意識しているということだから、その時は離れる。時間をかけるか、ぱっと撮ってしまうか、どっちかです」

やぁ、と挨拶を交わします。イタリア・ポルトベネーレ(c)Mitsuaki Iwago

 -沖縄の人へのメッセージを。

 「沖縄は時間がゆっくり流れているような気がする。そのリズムにネコも調和し、沖縄の風土にマッチして生きている。そこはすてきなところだ」

真似をすることも化粧の要点でしょうか。竹富島(c)Mitsuaki Iwago