がん療養中だった那覇市の押し花作家、當間光江さんの作品展が16日、糸満市の南部病院1階ロビーで始まった。開催を心待ちにしていた當間さんは9日朝、54歳で亡くなったが、教え子や病院スタッフ、親族や友人らが力を合わせ、遺志を継いだ。野に咲く花や野菜をちりばめた、ぬくもり満載の約60点が来院した人々の心を癒やす。弟の清次さん(52)は「作品は姉貴の分身。独特の光江ワールドを楽しんでほしい」と望んだ。18日まで。(社会部・新垣綾子)

色鮮やかな押し花やレカンフラワーが並んだ故當間光江さんの作品展=16日、糸満市・南部病院1階ロビー

「感謝の会」で満面の笑みを浮かべる故當間光江さん=4月29日

色鮮やかな押し花やレカンフラワーが並んだ故當間光江さんの作品展=16日、糸満市・南部病院1階ロビー 「感謝の会」で満面の笑みを浮かべる故當間光江さん=4月29日

 作品展の実行委員長、豊見城市の比嘉幸代さん(73)は當間さんの教え子の一人。押し花のほか、花や葉を特殊技術で立体的に飾り付けるレカンフラワーなどを習い「虫に食われた葉も、先生の手にかかれば魅力的な材料になる。優しくて人に尽くす人柄が作品にも表れている」とうなずく。熱心に見入っていた糸満市の自営業、仲嶺千夏さん(30)は「繊細で色使いも抜群。作品を買おうと思ったのにほぼ売り切れでした」と残念がった。

 當間さんを担当した緩和ケア病棟の小橋川初美看護師長(57)は深刻な病状を考慮し、より早い開催を持ち掛けたが、母の日前後でロビーには子どもたちの絵や作文が展示されていたことを理由に當間さんが拒んだと明かす。「自分の作品が邪魔してはいけないと言って。最後まで彼女らしい思いやりを貫いたと思う」と涙ぐんだ。

 當間さんは2年前に左乳房にがんが見つかり、骨や肝臓などへの転移も判明。2月には積極的治療を止め、心身の痛みを軽減する緩和ケア病棟に移った。生きる希望と死の恐怖の間で葛藤もあったが、多くの支えを受け、不安の中でも命の尊さや周りの愛情をかみ締める日々を送った。

 亡くなる5日前。「ここは死ぬ場所ではなく、生き続ける場所。緩和ケアをみんなに伝えることが私の最後の仕事」と語っていた。作品の売り上げの一部は當間さんの希望で緩和ケア病棟に寄付され、患者や家族のために使われる予定だという。