急激な円安が続いていた昨年、ガソリンの値上がりを予測し、ため息をつきながらニュースを眺めていた

 ▼意に反して、米国の新型原油シェールオイルの増産などを背景に原油価格がどんどん下がったときには、庶民目線で単純に喜んだ。まさか原油安が過激派「イスラム国」の資金減少につながり、人質ビジネスを横行させる恐れがあるとは想像も及ばない

 ▼邦人人質事件は、法外な身代金要求から人質交換の様相を呈してきた。緊迫した状態が続く中、人の輪で、拘束されている後藤健二さん(47)の殺害をイスラム国側に思いとどまらせようとする動きが広がっている

 ▼英語で「私は健二」と書いたカードを持つ写真をフェイスブックに載せるよう呼び掛けているのは、米ニューヨーク在住の映像プロデューサー西前拓さん(52)。後藤さんの友人だ

 ▼フェイスブックには老若男女のおびただしい数の写真が載り、たくさんの祈りであふれている。ある女性は写真と共に「戦争に涙し、命の尊さを知り、世界平和のために活動してきた、勇敢で優しい後藤さんの無事を、心の底から願わずにはいられない」とメッセージしていた

 ▼互いを知らない大勢の一個人が、一人の命を救うためにつながり、残忍非道な暴力を許さない。世界中の市民が束になれば、願いはかなうと想像している。(与那嶺一枝)