沖縄県名護市辺野古海域で27日、政府は新基地建設に向けた大規模な海上作業に踏み切った。翁長雄志沖縄県知事が作業中断を求めた翌日、仮設岸壁の建設からボーリング調査までできる5隻のクレーン付き大型船が沖合に現れた。県政発足2カ月で手探り状態の翁長知事につけ込むかのように「様子見は終わりだ」(政府関係者)と突きつけた挑戦状。建設阻止を掲げる翁長知事は早くも正念場を迎えた。

クレーンでコンクリートブロックをつり上げるなど作業が進むキャンプ・シュワブ沿岸=27日午前11時46分、名護市辺野古(伊藤桃子撮影)

 翁長知事が埋め立て承認を検証する第三者委員会の設置を発表し、県政として沖縄防衛局に検証期間中の工事を中断するよう求めた翌日のクレーン付き大型船による作業開始に、県議会与党からは「県民への弾圧だ」「民意を無視している」と反発の声が相次いでいる。

■県庁内探る連携

 昨年12月の翁長知事誕生から2カ月足らず。県庁内の歯車がうまくかみ合う前に、政府が作業のピッチを上げたことに危機感が募っている。

 県幹部は「辺野古問題に詳しい職員は、承認した前県政を支えた立場でもある。翁長知事は政府と向き合う前に、県内部での連携の仕方を探っている状態だ」と指摘。別の県幹部は「重要な判断は副知事だけに相談しているようだ。部長級を含め、まだ風通しが良くない」と話す。

 知事側近は「知事は世論、与党、政府と多方面を見据えているのが対応の遅さに映るのかもしれない。ただ、このままではいけない」と、建設阻止の具体策を早急に打ち出す必要性を強調する。

■「2週間も早い」

 政府・自民側には翁長知事の「新基地を造らせない」姿勢の本気度が低いとの見方が広がる。

 自民関係者は防衛省では大型船による作業は2月上旬とのスケジュール案もあったとし、「作業が進むのが予定より2週間も早い。政府内では承認の検証開始が予想よりも遅かったため、知事が本当に辺野古反対を貫けるのか怪しいと見透かし、工事を進めようとしている」と解説する。

 自民県連幹部は、第三者委を例に「メンバー全員が決まらないまま設置を中途半端に発表したのは与党からの突き上げだろう。ただ、知事本人は2015年の振興予算減額もあり、真っ正面から政府と衝突したくないはずだ」と指摘した。

■新体制スタート

 辺野古の現場では、抗議する住民と海保や県警との衝突が起きており、与党県議の中にも「もたもたしているうちに、埋め立て工事が始まれば取り返しがつかない」と焦燥感がある。

 26日には辺野古問題を仕切る知事公室・土木建築部の2部長が交代、“翁長新体制”が始動した。知事周辺は「ここからが知事の本領発揮だ」と“逆襲”に向け、気を引き締めた。