9秒でまるわかり!

  • 沖縄県平和祈念資料館の県内入館者が、開業翌年の2001年度比で8割減
  • 来館者の大半が観光客に。ひめゆり資料館も県内の来校数が減った
  • 学力向上に注力する一方、平和教育など校外学習は減少傾向にある

 沖縄戦の記録や証言などを展示している糸満市の沖縄県平和祈念資料館とひめゆり平和祈念資料館の県内の入館者数が低迷している。県資料館の2016年度の県内有料観覧者数(無料の学校団体除く)は7963人で、開業翌年の01年度と比べて8割減少。ひめゆりでは県内の利用状況が分かる小中高校の来校数が、ピークだった1995年度の140校から2016年度は72校と、ほぼ半減した。終戦から72年を迎え、沖縄戦の証言者が年々少なくなる中、施設関係者は「平和学習も含め、県民の関心の薄れを感じる」と危機感を抱いている。(学芸部・座安あきの)

県内の入館者が低迷している県平和祈念資料館=糸満市摩文仁

県平和祈念資料館の出身地別入館者数(有料)の推移

県内の入館者が低迷している県平和祈念資料館=糸満市摩文仁 県平和祈念資料館の出身地別入館者数(有料)の推移

 観光客を含めた全体の入館者総数も減少傾向。県資料館の16年度の入館者は37万2502人で10年前の06年度に比べて17%減。ひめゆりは同比約36%減の57万9865人となり、初めて60万人を割り込んだ。来館者のほとんどを観光客が占める。国内は減少傾向にあるが数年前から海外が増加し、県資料館の担当者は「全体的には下げ止まりつつある」と話す。

 一方、県内の入館者数は依然低迷が続く。県資料館の県内(有料)は開館効果があった00年度の約11万人を除くと、01年度の4万3820人が最多。08年度からは1万人を下回る。有料観覧者に占める県内の割合は05年度まで10%前後だったが、08年度以降は2%台で推移。県内小中高校の利用も00年度の368校(3万1947人)から、16年度は224校(1万8982人)に減った。

 県資料館は開館当初から、ひめゆりは08年度から県内の学校団体の入館料を無料にしているが、入館者の増加にはつながっていないという。識者や関係者は、県内客が低迷する要因の一つに、学校現場での平和教育の取り組みに課題があるとみている。

 平和祈念資料館学芸班長で、中学校で社会科を教えていた古謝将史さんは「県内の学校現場はここ数年、学力向上に力を入れ、校外学習行事を減らす傾向がある。一方で地域の身近な戦跡を活用した学習を進める学校も出始めている」と話す。「沖縄戦の体験者が少なくなる分、記憶を残す『場所』が一層重要になる。教育現場でも『場所』を活用し、共感する場面をどうつくるか、考えていく必要がある」と指摘した。