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  • 毒を持つ「ヒアリ」の侵入防止へ、沖縄県は対策費3千万円を計上
  • 県内25カ所で調査、海外と物流盛んな4港湾に捕獲トラップ設置
  • 探索犬導入や先端防除技術を学び、侵入時の初動体制整備も急ぐ

 強い毒を持つ南米原産のアリ「ヒアリ」の沖縄への侵入・定着を防ぐため、沖縄県自然保護課は本年度から、沖縄科学技術大学院大学(OIST)に委託し、水際対策を本格化させている。本年度事業費は3千万円。沖縄本島や石垣島25カ所の調査区で侵入を監視し、物流の活発な県内4港にも捕獲トラップなどを仕掛ける。「ヒアリ探索犬」のコストの試算も進めるほか、侵入が確認された場合に備えて初動体制の検討も急ぐ。(社会部・篠原知恵、政経部・比嘉桃乃)

強い毒を持つ南米原産のアリ「ヒアリ」(環境省提供)

 ヒアリが定着している中国や台湾と近く、海外観光客や物流の動きも激しいため、県は一括交付金を活用し、昨年度補正予算で3千万円を計上、ヒアリやアルゼンチンアリを含む特定外来生物に指定された外来アリ4種の独自対策に着手した。5年計画を想定している。

 県は昨年度、沖縄本島と石垣島の25カ所の調査区で外来アリの侵入は確認していない。ことし1月にはヒアリの繁殖が10年以上拡大する台湾を視察、ヒアリ探索犬や、アリに巣まで殺虫剤を運ばせる手法など先進的な防除技術を学んだ。

 本年度からは、那覇港などの港湾管理者と調整して新たなトラップを設けて監視体制を強化する。日本のお菓子がヒアリ誘引剤に有効かどうかを検討。侵入を察知できるモニタリング体制整備やヒアリを見極めるツール作成にも取り組む。

 県自然保護課は「侵入すれば人的被害のほか農作物や家畜にも影響があり、緊急的に対策すべきと判断した。水際作戦が有効で、侵入を見つけたら即座に徹底駆除したい」と語った。

 5月、国内で初めて中国・南沙港から兵庫・神戸港に到着した貨物船のコンテナ内で発見された。沖縄総合事務局は19日、那覇港など県内主要6湾港の管理者に調査報告を依頼。アリの確認は報告されていない。

 環境省は、ヒアリとみられる個体を発見しても、素手で触らないよう注意を喚起している。見つけた場合は那覇自然環境事務所か、県自然保護課までの連絡を呼び掛けている。

 【ことば】ヒアリ 赤茶色の小型のアリで、腹部は黒に近い赤色。刺されるとやけどのような激しい痛みが生じ、体質によってはアナフィラキシー・ショックを起こして死に至る可能性もある。米国を含む環太平洋諸国や中国、台湾で定着が確認されている。米国では年間で約100人の死亡例が報告されている。