「ヤギ博士」は未(ひつじ)年に懸けている。沖縄山羊(やぎ)文化振興会長で、ヤギ研究により学術博士号を得た沖縄県獣医師会の会長、平川宗隆さん(69)=那覇市=が、ヤギ料理を提供する屋台の出店準備を進めている。ライフワークとする沖縄ヤギ食文化研究の集大成として、自らの主張を実践に移したいと意気込む。(前田高敬)

仲間とヤギ料理屋台出店について話す平川宗隆さん(右)=26日、那覇市の第一牧志公設市場内の食堂「ツバメ」

 平川さんの屋台では、沖縄伝統の「ヤギ食3点セット」、ヤギ汁とヤギ刺し、チーイリチャー(血の炒めもの)のほか、インドやタイのカレーなどアジアのヤギ料理、さらにニラやパパイアなど季節の野菜を使った創作ヤギ料理を出す予定だ。

 元県職員で経営の経験はないが、ハーブ料理などのミニサロンを営む妻の理恵子さん(65)ら家族の協力と、第一牧志公設市場で食堂「ツバメ」を経営する張陳雪貞社長ら仲間の助言が後押しする。

 昨年11月には屋台実現により近づきたいと、那覇市牧志の映画館「グランドオリオン」跡にできる「国際通り屋台村」に応募した。選考は大詰めで、平川さんは31日に那覇市内である試食会に向け調理の工夫に余念がない。

 衰退しつつある沖縄のヤギ食文化発展のため、世界の調理法にも学び独特の獣臭を敬遠しがちな女性や観光客の消費を拡大しよう-と20年以上前から説き続けてきた。2004年に「世界の山羊料理屋台村」開設を提言。2年ほど前には提言実践に向け公設市場内の空き店舗でヤギ料理店を出店しようとしたが、抽選で逃した経緯もある。

 だから昨年、ヤギ肉を食べると血圧が上がるという俗説を否定する研究や屋台村構想が相次いで発表された際は「ご先祖様とヤギの導きに違いない」と感じたという。

 「ことしは沖縄の大切なヤギ食文化を全国、世界に発信する絶好のチャンス」。長年の研究を実社会で生かそうと平川さんは燃えている。