一ファンとして喜びと同時に、驚いた。創設されたばかりの「沖縄書店大賞」の第1回受賞作に、4こま漫画の「おばぁタイムス」が選ばれたからだ

▼本といえば活字、という固定観念があった。書店員さんが投票で選ぶ賞なら、先行の本屋大賞がある。著名な作家らを審査員に抱えた並み居る賞と一味違い、大衆小説を選んでは次々とヒットさせてきた

▼しかし、視点を変えれば、郷土書部門で1番の「おばぁタイムス」は、賞の対象期間中に発行された本の中で、活字よりも沖縄土着の文化を最もよく表現していると評価されたのかもしれない

▼本紙に掲載中の「おばぁ」は、メディアで典型的に描かれてきた「沖縄のおばあ」のたくましさや優しさを備えているが、それにとどまらない個性を放つ。「おじぃ」との会話での独特の間合いは、長年の絆さえ感じさせ、赤瓦の家に住んでいそうな夫婦を思わせる

▼隠れた人気の「はーや先輩」がどんなにボケたことを言っても、後輩が尊敬のまなざしで交わす会話は、県内のどこかの地で交わされていそうだと笑いを誘う

▼まず現実にはありえないはずなのに、何とも活字にしづらい沖縄独特のコミュニケーションや間合い、関係性が4こまのそこかしこににじみ出て現実を夢想させる。味のある笑いに、著者の大城さとしさんに、乾杯。(与那嶺一枝)