2017年(平成29年) 12月15日

大弦小弦

[大弦小弦]岩国の人々が言った「長い闘いの始まりだ」という言葉を…

 岩国の人々が言った「長い闘いの始まりだ」という言葉を思い出している。2006年の住民投票で、米軍厚木基地の空母艦載機が岩国基地に移駐する計画を拒否した。あれから11年。福田良彦市長は23日、受け入れという正反対の結論を出した

▼基地問題の住民投票は沖縄県、名護市に続いて3例目だった。取材に訪れると、政府の「アメとムチ」に翻弄(ほんろう)された沖縄の経験はよく知られていた。その後、岩国でも同じことが起きた

▼政府は市庁舎建設の補助金35億円を凍結した。艦載機とは無関係の、すでに受け入れていた普天間飛行場の空中給油機移駐の見返りだったにもかかわらず。次の市長選で福田氏が反対姿勢の前市長を下すと、凍結は解除された

▼米軍再編で進展がないのは辺野古新基地建設と岩国への艦載機移駐の二つ。福田氏はなぜか辺野古の進展も自身の受け入れ条件に挙げ、5月には建設現場を訪れた

▼23日の記者会見では「沖縄の工事は見通しが立った」と公言した。政府にとっては岩国にめどをつけ、辺野古でも援護射撃を得る一石二鳥

▼移駐が完了すると常駐の米軍機は約120機に倍増、岩国は嘉手納基地と並んで極東最大級の航空基地になる。政府が岩国に何をしてきたか、今後岩国で何が起きるか。簡単に想像できるだけに、人ごとではない感覚が募る。(阿部岳)

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