【仲宗根フェルナンド通信員】慰霊の日を前にリマ市郊外の県人会館西銘順治大ホールで17日、講演会「平和と沖縄戦 歴史・文化・ちむぐくる」が開催された。ペルー日系社会では慰霊の日を題材にした企画は珍しく、会場には県系関係者を含め10~70代の約50人が訪れた。県人会館でしまくとぅばクラスの講師を務める県出身の徳森りまさんが企画した。

「平和と沖縄戦」をテーマに講演した徳森りまさん

 講演は琉球王朝時代の歴史に始まり、沖縄戦で沖縄が本土決戦のための「捨て石」とされたこと、原爆が投下された広島や長崎に比べて、沖縄の戦争体験が国内外で十分に知られていないことなどの課題が説明された。

 ペルーの参加者から「なぜ日本では学校で沖縄戦についてしっかり学ぶ時間を設けないのか」と質問が挙がると、徳森さんは「沖縄戦では日本兵による住民への被害が大きかったため日本では教えづらいのかもしれない。だが、平和の礎のように敵味方関係なく命を大切にしなさいというのが沖縄戦の教訓。世界中に伝えていかなければならない」と語った。

 その後、23日に糸満市での沖縄全戦没者追悼式で読む「平和の詩」として紹介された県立宮古高校の上原愛音さんの「誓い~私たちのおばあに寄せて」を朗読し、参加者一同黙とうをささげた。最後は三線の演奏と踊りで幕を閉じた。

 ペルー日系社会では、慰霊の日について沖縄県ほど浸透しておらず、沖縄戦について知る機会も少ない。徳森さんは、「沖縄戦の証言をスペイン語で検索してもほとんど情報がない。戦争の教訓を伝えるためには、沖縄から世界に向けて直接情報を発信することが大切だ」と話した。

 参加した県系2世の小波津カズエさん(74)は「原爆の話は聞いたことがあったが、沖縄戦で日本軍が住民に被害を与えたという話は今回初めて聞いた」と感想を述べた。

 講演会に先立ち、沖縄戦体験者のドキュメンタリー映像が上映された。続いて、琉球舞踊の「谷茶前」と「安里屋ユンタ」が披露されると観客らは熱心に見入った。