いま辺野古で起きていることは、民主的な社会のありようとはあまりにかけ離れている。市民の安全は考慮されず、「いつか死者が出る」との声が上がるほど異常な事態である。

 米軍普天間飛行場返還に伴う新基地建設で、市民の反対行動に対する海上保安庁などによる警備活動が、危険行為を伴うほどエスカレートしている。

 2日、カヌーで抗議行動をしていた市民8人が海保職員に拘束された。その際、職員がカヌーに飛び乗り、転覆させた上で市民を拘束する場面もあった。

 海保は拘束した市民をゴムボートに乗せ、岸から約4キロ離れた沖合まで連れて行き、約1時間拘束した後、カヌーごとリーフの外に放置した。

 リーフの外は波が荒く、流れが速い。自力で戻るのは困難だ。抗議船が迎えに出て市民らを救出したが、専門家が「外洋と変わらない」と話すくらい危険な場所だ。

 これまでは、拘束した場所や岸の近くで市民らを解放していたのに、なぜ危険な沖合に放置したのか。「安全確保のため」というが、明らかに行き過ぎである。

 名護市の稲嶺進市長が2日、第11管区海上保安本部に過剰警備をやめるよう要請したにもかかわらず、市民を沖合に放置する行為は、3日も同様にあった。

 国民の生命・財産を守るのが国の責務である。もしも不測の事態が起きた場合、一体誰が責任を取るというのだろうか。

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 菅義偉官房長官は3日の参院予算委員会で、辺野古の過剰警備を追及した福島瑞穂氏(社民)に対し「丁寧に警備している。けが人が出ているとの報告は聞いていない」と答えた。

 菅氏はさらに「安全を確保して粛々と進めている。看過できない行為には法令に基づいて適切な対応を取るケースがあると聞いている」と、警備の正当性を主張した。

 海上保安庁の報告だけで、沖縄側の声を聞こうともしない菅氏の説明は、とても沖縄基地負担軽減担当相を兼ねているとは思えない。

 安倍晋三首相は、国会で「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と答えたが、名護市長選、県知事選、衆院選沖縄選挙区で示された沖縄の民意を無視する姿勢は変わらない。選挙結果を受け止めるというなら、一日も早く翁長雄志知事と会うのが筋である。

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 翁長知事は4日、前知事による辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会の残り2人の委員の就任を明らかにするとともに、第1回会合を6日に開くことを発表した。

 第三者委員会について安倍首相は「詳細を承知していない」と答弁を避けている。翁長知事が先月、新基地建設作業の中断を要請した直後、国は辺野古沿岸部に大型作業船を導入し、コンクリートブロックを投下するなど作業を加速させた。

 沖縄の声に耳を傾けず移設作業を強行する安倍政権の対応は、あまりにも乱暴で不誠実である。作業を中断し、対話の場を設けるべきだ。