帯を結ぶのが横だったり、後ろだったり。着物の前がはだけぽってりしたおなかが丸見えのものもあれば、逆に肌が見えないほど襟をきっちり合わせたものも。顔は仮面のように前だけか、頭がすっぽり入るかぶり物か。頭に布を巻いたものもある。手に持つのは何か、何が書かれているのか…

▼それぞれ、どこかが違っていて、同じものはない。祭事に登場し豊作などをもたらすとされる県内各地の「みるく」の姿だ。ふっくらした顔で笑い、福を招きよせる-そんなイメージしかなかったので、こんなに違うと知って驚いた

▼集落ごとの違いを再現した粘土人形のみるくを作っている斎藤秀二さん。祭りも好きだが、それだけでなく個性豊かなみるくに魅せられ各地を訪ね、作品にしている

▼確かにエイサーだって、獅子舞だって集落ごとに違う。みるくも違っていて不思議ではない。しかし、「案外、地元の人でも他の集落と違いがあると知らない人がいる」

▼斎藤さんの人形を買い求めるのは、観光客だけではない。自分の出身地のものを探す人も多いという。細部の再現に古里の祭りや人、情景を思い出すのだろう

▼どこにでもあるようで、そこにしかない。それぞれの行事はどれも、その地域「独特」で思いが込められた大切なものだと、違いを通して気付かされた。(安里真己)