「慰霊の日」の23日、沖縄は鎮魂の祈りに包まれた。一方、国会では15日、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案が、与党の強行採決で成立。「戦前の治安維持法だ」「表現の自由が侵害される」と、不戦・平和の願いとは逆の動きに懸念の声も上がる。社会風刺をネタにした舞台「お笑い米軍基地」の企画・脚本などを手掛けるFECの小波津正光さん(42)は戦争体験者らの危機感を「どう表現するか、芸人として腕の見せどころだ」と強調する。(社会部・新垣卓也)

「客観的に『沖縄』を見ることが大切」と話す小波津正光さん=22日、那覇市安里

新基地建設への抗議活動などを題材にした「お笑い米軍基地13」=10日、那覇市久茂地・パレット市民劇場

「客観的に『沖縄』を見ることが大切」と話す小波津正光さん=22日、那覇市安里 新基地建設への抗議活動などを題材にした「お笑い米軍基地13」=10日、那覇市久茂地・パレット市民劇場

 共謀罪法は思想・信条の自由や、表現の自由を侵害する恐れがあるとの指摘もある。舞台は今年で13年目。タブーを恐れず脚本を作り上げてきた小波津さんは「どこまでが対象なのか、今の段階では全く分からない。ただ、政権に対して何も言えない状況になっているように感じる」と話す。

 法案を巡っては、二転三転する答弁で法相が厳しい批判を浴びた。今月10日から24日まで県内各地で公演した「お笑い米軍基地13」では、その様子をシニカルに描き、笑いを誘った。「審議も尽くしてないのに法律が成立するのはおかしい」と思う一方、「国会議員を選んだのは国民。われわれにも責任がある」と痛感している。

 共謀罪に治安維持法を重ね、国の将来を憂う声もある。「戦争を知らない私たち世代はピンと来ていない。体験者が感じる『危険信号』をどう表現して感じさせるかが、芸人としての勝負どころだ」と腕をまくる。

 法に縛られ、自由な発言すらできなかった社会から、戦争に突き進んだ。「芸人が表現を自主規制するべきではない。どんな状況でもネタを作り続ける」と力を込める。

 沖縄全戦没者追悼式が開かれる糸満市摩文仁の「平和の礎」には、曽祖父母の名前が刻まれている。若い頃、慰霊の日には母と一緒に礎を訪ねた。「面倒くさいと思うこともあったが、人々が礎に手を合わせる姿を直接見て、感じることが大切だ」と理解するようになった。

 自身も毎年、子どもたちを連れ、礎に手を合わせる。23日も足を運んだ。「体験者にとって、沖縄戦は一生終わらないもの。それを子どもたちに感じさせるのは、大人の役目」と強く思っている。