名護市辺野古で進む新基地建設の根拠となっている仲井真弘多前知事の埋め立て承認を検証する県の第三者委員会が初会合を開いた。公有水面埋立法の基準に適合しているとし、ゴーサインを出した前県政の手続きに法的瑕疵(かし)がなかったかどうかを有識者が審査する。

 新基地建設に反対する翁長雄志知事の承認取り消しや撤回の判断に影響を与える重要な会議だ。公有水面埋立法の承認取り消しは過去に例がないといわれるが、そもそも承認の前提となった国の環境影響評価(アセスメント)と、前知事の一連の対応が過去に例のないものだった。

 辺野古アセスは埋め立て工事の影響を過度に小さく見積もるなど専門家から「史上最悪」(島津康男・環境アセスメント学会元会長)と酷評されるほど問題が多かった。象徴的な例がジュゴンの保護策である。

 政府の環境影響評価書は、ジュゴンが「辺野古地先を利用する可能性は小さい」などとする。実際は環境団体が多数の食(は)み跡を確認するなど、国の予測や保全策の不備は明らかである。

 ジュゴンだけでなくウミガメやサンゴ、海草類の保全も同様。「辺野古ありき」の計画が自然を守るという考えを脇に押しやっている。

 沖縄の中でも生物多様性が豊かで、県の「自然環境の厳正な保護を図る区域」のランク1に位置付けられている海域への米軍基地建設だ。環境保護はとりわけ重要な検証ポイントとなる。

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 2012年3月、環境影響評価書に対し「生活環境と自然環境の保全を図ることは不可能」と断じたのは当時の仲井真知事である。

 13年11月には県環境生活部が環境保全に不明な点があり、「懸念は払拭(ふっしょく)できない」と厳しく指摘している。

 仲井真氏が埋め立てを承認したのは、それからわずか1カ月後。どのようにして懸念は払拭されたのだろう。

 県庁内の議論や手続きを飛ばし、県民への事前説明もほとんどないままだった。沖縄政策協議会へ承認の条件ともとれる要求を提示した直後の急展開だけに、多くの県民が基地との取引と受け止めた。

 第三者委員会では前県政の判断の問題点を洗い出し、つぶさに検討してほしい。少なくとも説明責任をないがしろにしたやり方は、民主主義という点から大きな問題がある。

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 第三者委員会には公明正大で論理的、かつ説得力をもった検証が要求される。

 県議会百条委で解明できなかった点を含め、たくさんの疑問を審査しなければならないのだから一定の時間はかかる。だが、けが人が続出し緊迫する辺野古の反対運動を思うと、委員会の下に作業部会を設けるなどスピードアップが必要だ。

 何よりも県職員の全面的な協力が不可欠である。前知事時代に承認に関わった職員の心境は複雑だろうが、翁長知事自らが呼び掛けて、全庁一丸となった体制を構築してほしい。