「高いなぁ」。スーパーで野菜を手に取り、心の中でそうつぶやいて、そっと陳列棚に戻す。那覇市の食料の物価水準は全国の都道府県庁所在市で最も高く、東京都の区部よりも高い。取材でその事実を知ったとき、驚きより、「やっぱり」という感覚が大きかった

▼沖縄県は給与水準が全国の8割に満たない低賃金社会だ。最低賃金は東京都と218円の開きがある。復帰直後の差額は53円で、実に4倍にまで広がっている。本土との経済格差は縮まったようにいわれるがこれらの数字が示す現実は違う

▼給料は安いのに物価は高い。そのいびつな構造が私たちの生活に影を落とす。「働いていても貧困」なのは当然だ。特に低収入世帯ほど受ける影響が大きい

▼外国をみると、税金は高額でも生活に欠かせない食料品の税率は抑えていたり、かけていなかったりする国がある。消費税が20%の英国ではほとんどの食料品や子供服にかかる消費税が0%だ

▼しかし、なぜ沖縄の食料は高いのだろうか。輸送コストがかかるから? 需給のバランスが取れていないから? 八百屋が少ないから? 県は要因を分析していないという。要因が分からなければ手だても講じられない

▼子どもからお年寄りまですべての県民の生活の根幹に関わること。政治、行政が最優先に取り組むべき課題だ。(高崎園子)