「離島の離島」を多く抱える島しょ県沖縄。航空路線は住民の「生活路線」であり、島ちゃび(離島苦)を解消する重要なインフラである。

 民事再生法の適用を申請したスカイマークが那覇と宮古、石垣を結ぶ路線からの撤退を決めたことが、運賃引き上げにつながらないか、地元で波紋が広がっている。

 懸念の背景にあるのは、国土交通省が新興航空会社の経営を保護する目的で定めた通達の存在である。経営基盤の弱い新規航空会社を体力のある大手企業から守るという趣旨の規制である。

 那覇-石垣線は、スカイマーク撤退に伴い3月29日から新興航空会社のスカイネットアジア航空(SNA、ソラシドエア)が新規参入する。

 問題は、国交省の通達によって、競合する日本トランスオーシャン航空(JTA)など既存の航空会社が、SNAの届け出た運賃を下回る運賃設定が認められないことだ。

 つまり、SNAの運賃設定次第では、既存社が従来の水準の割引運賃を継続できず、実質的に値上げにつながる可能性が出てくるのである。

 宮古・八重山の5市町村は6日、JTAと全日本空輸(ANA)に対し、運賃の現状維持を要請した。JTAは国交省の通達を理由に現行の割引運賃を継続できない可能性を示唆したという。

 スカイマークの宮古、石垣線への参入によって離島航空運賃の価格競争が生まれ、利用者は割安な運賃を享受できるようになった。公平な競争を後退させるような国の規制は疑問である。

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 スカイマークは2011年9月に那覇-宮古線、13年7月に那覇-石垣線に就航。低価格の運賃設定を打ち出し、既存2社も相次いで航空運賃を引き下げるなど、離島の航空運賃に価格破壊をもたらした。

 格安運賃によって、住民は沖縄本島への行き来がしやすくなるなど「生活の足」として離島の生活向上に寄与した。

 宮古・八重山の観光にも大きく貢献した。宮古島市の本年度の入域観光客は、過去最高だった12年度の41万3654人を超える勢いだ。伊良部大橋開通など観光資源の豊富さを売りにさらなる観光振興に力を入れる。

 八重山の14年の入域観光客数は前年比18・9%増の112万1622人で、2年連続で過去最多を更新した。

 離島住民の利便性や経済振興に大きく寄与したスカイマークの就航だっただけに、撤退に伴うさまざまな影響に不安が広がるのは当然だろう。

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 スカイマークが那覇-石垣線から撤退する4月以降、同路線の当日から2日前の最低運賃は、現在の9900円から2万1千~2万6千円と2倍以上になる可能性があるという。石垣市議会は9日、県に離島住民を対象にした交通コスト負担軽減事業の適用を求める意見書を可決するなど危機感が広がっている。

 いったん実現した格安運賃が引き上げられれば、住民の負担感は想像以上に大きいはずだ。本島との経済格差や医療格差を是正するためにも安価な運賃の継続が不可欠だ。