東村高江周辺の米軍北部訓練場のヘリパッド(着陸帯)建設工事が1日再開された。反対する市民らがゲート前に座り込む中、工事車両が次々基地内に入っていった。

 国の天然記念物ノグチゲラなどの営巣期間である3~6月の中断期間が終わると同時の再開である。

 昨年12月までに、高江集落を取り囲むように計画された六つのヘリパッドが「完成」した。ヘリパッド移設は北部訓練場の約半分を返還するための条件で、政府は米軍関係者とともに返還記念式典を名護市内で開いた。

 「年内完成」を目指して当初の工事期間を大幅に短縮し、沖縄の負担軽減をアピールするというのが安倍政権の狙いだった。

 ヘリパッドが「完成」したというのになぜ工事を再開するのか。防衛省が認めるように突貫工事にならざるを得なかったため、さまざまな不備が露呈しているのである。

 まずG地区と呼ばれるヘリパッドへの進入路を整備する。市民団体によると、ヘリパッド建設の際、工事車両を通すために敷き詰めた採石を取り除き、米軍車両が通行できるよう整備し直すという。ヘリパッドの「年内完成」を最優先したために起きたずさんさを示すものだ。

 ヘリパッド本体も「完成」以降、雨の影響で2地区の法面(のりめん)の一部が崩落。先月中旬の大雨で資材置き場から赤土が流出した。

 建設費も当初契約の6億1300万円から約15倍に膨れ上がっている。「警備費」の増大が最も大きな要因だ。

 抗議行動を力ずくで抑え込んで工事を強行する異常さを工事費の膨張が示している。

■    ■

 ヘリパッド建設工事を巡って、政府は昨年7月の参院選沖縄選挙区で自民党候補が敗れた翌日朝、2年近く止まっていた工事を突然始めた。

 政府は、県外から最大800人規模の機動隊を導入し、自衛隊ヘリを投入して資材を運び込むなど権力をむき出しにして工事を進めた。抗議行動のリーダーらが「微罪」で逮捕・起訴・長期勾留されたことで、海外の人権団体からも批判を浴びたりした。

 二つのヘリパッドは、オスプレイがすでに使用している。高江集落を昼夜を問わず低空飛行し、住民生活に深刻な被害を及ぼしている。

 残る四つのヘリパッドが運用されれば、低空飛行訓練に伴うオスプレイ特有の騒音被害が拡大するのは確実で、生物多様性に富むやんばるの森の生態系にも大きな影響を与える懸念が拭えない。

■    ■

 北部訓練場の約半分の返還は日米特別行動委員会(SACO)で合意した返還面積の数字を大きくすることにこだわった日本政府の要請に米軍が応じたものである。

 米軍が認めているように返還するのは不要な土地である。米軍はその代わりに近隣の水域と進入路の追加提供を受け、上陸訓練が可能な基地を得たことになるのである。

 米軍は返還に伴う実質的な痛みはなく、県民には新たな負担が生じる結果になっている。沖縄の負担軽減というのはまやかしでしかない。