【郷田まみ通信員】ブエノスアイレスで開催されたビエンナーレ・デ・パフォーマンスの一環で5月21日、沖縄県系2世マギ・ガニコ(我如古)さん率いるダンス団のパフォーマンスがボカ地区・プロア美術館であった。秋らしい肌寒さと夕日の下、美術館で開催中のイブ・クライン(20世紀半ばに活躍したフランスの美術家)の展覧会場内で行われたパフォーマンスは、抽象的で作家のトレードマークともいえるクライン・ブルーの作品と呼応しながら、独特の時空間を生んだ。

マギ・ガニコさん率いるダンス団のパフォーマンス=アルゼンチン・プロア美術館

 柔道黒帯まで取得するなど日本に造詣が深かったクラインは当時、広島を訪れ、原子爆弾で変形した物や町、人びとの姿を見てショックを受け、後に「HIROSHIMA」と題する作品を発表した。今回、マギさんのパフォーマンスは、自身の父親も被爆者という個人的な背景を持つ。

 不条理な苦しみ、目的を失った怒りと空回りする狂気、どっしりと心に重い作品だが、同時に最後には軽やかな喜びとすがすがしさを残して終わる。ブルーの風船につられて浮遊するパフォーマーたちは展示会場を抜け出して屋外に出て終了する。マギさんの作品はいつも最後に希望を与えてくれる。