タイムス女性倶楽部の第42期3回目の講演会が2日、那覇市内のホテルであった。若年性認知症であることを沖縄県内で初めて公表した大城勝史さん(42)が「認知症を発症した私の世界観、経験・体験を伝えたい」と題して講演した。

若年性認知症当事者としての自身の体験を語る大城勝史さん=2日、ロワジールホテル那覇

大城勝史さんの体験談に耳を傾ける来場者

若年性認知症当事者としての自身の体験を語る大城勝史さん=2日、ロワジールホテル那覇 大城勝史さんの体験談に耳を傾ける来場者

 大城さんは車の整備士だった30代中頃から、頭痛や体のだるさに悩まされた。病院でも原因が分からず、38歳の時、記憶障がいなどの症状が出る「抗グルタミン酸受容体抗体脳炎」と診断され、その2年後には若年性認知症と診断名が変わった。3児の父親であるため、「守る人がいる。何とかしなければ、と思えば思うほど追い込まれた」と振り返った。

 仕事では客との約束を忘れるなど、大きな支障が出た。勤務先に症状を報告し、若年性認知症支援コーディネーターなどに支援を求め、現在も洗車担当として働き続けている。「多くの人に支えられた分、自分の経験を話すことで人の役に立てるのではないか」と考え、昨年1月から講演活動をスタート。今年6月には体験をつづった著書「認知症の私は『記憶より記録』」(沖縄タイムス社)を、クラウドファンディングで資金を調達して出版した。

 現在の症状について、大城さんは「1日持つか持たないかの記憶力しかない。頭の中が急に真っ白になることもあれば、消しゴムで記憶を消すようにゆっくり消えることもある」と話す。「今後、忘れたことさえ自覚できないことが怖いが、自身の経験を話すことで前向きになれる」と心境を語った。

 宜野湾市の大嶺志麻さん(43)は「大城さんとは同年代。自分だったらどう受け止められただろうと考えさせられた。症状の進行を防ぐため、どんなことをしているのかも知りたかった」と感想を述べた。

大城勝史さんの著書「認知症の私は『記憶より記録』」

最初に異変を感じたのは30代前半。うつ病の疑いや脳炎の診断を経て40歳でアルツハイマー型認知症と告げられるまでの苦悩、仕事復帰に至る周囲や会社のサポートのほか、講演活動を通した出会い、「伝える」という使命を丹念につづる。

■大城勝史 著
■四六判/261ページ
■価格 1,620円(税込)

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