20トンもある巨大なコンクリートの塊がサンゴ礁を無残にも押しつぶす。先のとがった鋼製アンカーはサンゴを突き刺し、波に引きずられ動くワイヤはサンゴを削り取る。

 名護市辺野古の海で、沖縄防衛局が新基地建設のため投下するコンクリートブロックが自然を破壊している。

 ヘリ基地反対協議会の調査で明らかになった。

 ブロックは抗議活動を続ける市民が近づけないようにフロート(浮具)などを固定する重しで、大型作業船が姿を見せた先月27日以降、連日のように沈められた。

 最大45トンのブロックが投げ込まれれば、その下にあるものがどうなるのか容易に想像できる。反対運動を続ける市民からは「サンゴを殺さないで」との悲痛な叫びが漏れるほどだ。

 辺野古の大浦湾は「生物多様性の豊かさ」で知られる。サンゴ礁へのダメージはサンゴと共生する貝類、海草など生態系にも影響を及ぼす。

 新基地建設では昨年10月、台風でアンカー120個が流され海草藻場が傷つけられたことも判明している。

 仲井真弘多前知事の埋め立て承認を前に、県環境生活部が環境保全に不明な点があり「懸念は払拭(ふっしょく)できない」と指摘したことが現実のものとなっている。

 仲井真氏は、工事中の環境保全について助言する国の環境監視等委員会の設置などを担保に埋め立てを承認したが、その委員会も役割を果たしていない以上、工事を即中断すべきである。

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 緊急に署名を集めた市民有志は10日、県に対し、アンカー設置作業の中断と岩礁破砕許可申請について沖縄防衛局へ勧告するよう要請した。目の前での自然破壊に居ても立ってもいられなくなってのことだ。

 防衛局は岩礁破砕手続きの対象外だとするが、これだけ環境に負荷をかけているのだから手続きを踏むべきである。県も海上作業の一時停止の指示の検討を始めたという。世界に誇る海を守るためだ。もっと強く声を上げてほしい。

 そもそも埋め立て申請の前段階の手続きとして実施された辺野古アセスは、記載されるべき内容が記載されないなど多くの不備が指摘された。

 オスプレイ配備の後出しが最たるもの。ジュゴンについても事前調査によって「海域をかく乱し追い出したのではないか」との疑いが消えない。影響をできるだけ見ないようにしてきたのだ。

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 辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返す安倍政権。県の作業中止要請には耳を貸さず、「なぜ辺野古なのか」の疑問にも答えようとはしない。伝わるのは強引さと冷ややかさ。これほどまでに説明責任を果たさない政府が、かつてあっただろうか。

 昨年11月、自然史研究に携わる19学会が大浦湾一帯を「わが国の中でも極めて生物多様性の高い地域」とし計画見直しを要請した。生物多様性を守ることは、国際的にも重要な課題だ。

 新基地建設が自然環境へ及ぼす影響はあまりに大きい。