東京都議選から一夜明けた3日、安倍晋三首相は自民党惨敗に終わった選挙結果について「大変厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と記者団に語った。その後もさまざまな場で「反省」を繰り返した。

 通常国会閉会を受けた先月の会見でも、加計(かけ)学園などを巡る自身の国会対応を「深く反省する」と述べている。

 今回の歴史的敗北は「反省は口先だけ」と都民が不信感を抱いた結果ではないか。

 2日投開票された都議選は、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が第1党に躍進し、公明党なども合わせた支持勢力で過半数の79議席を獲得し圧勝した。

 自民党が過去最低の23議席と大敗したのは、「共謀罪」法の採決強行や森友・加計学園に関する疑惑など、国民の不安や疑問に向き合おうとしない政権の「おごり」に民意が強く反発した結果だ。

 都議選の真の敗者は安倍首相その人というべきだろう。

 自民党内からは「おごりが国民の怒りを招いた」との批判が出ている。首相を含む執行部の責任を問う声もある。

 ただ、物申すのは一部の限られた議員だけ。いまだに多くは官邸の顔色をうかがい、沈黙したままである。

 異論を許さない空気が「おごり」を助長してきたというのに、開かれた議論で民意をくみ取っていく動きにつながっていない。

 「安倍1強」の下で国政はチェック・アンド・バランスの機能を失っている。

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 安倍氏の政権運営で目立つのは、数の力による強引な手法だ。

 その最たるものが、委員会採決を飛ばす禁じ手を使った「共謀罪」法。加計学園問題では「印象操作」の言葉を連発し、野党の質問に正面から答えようとしなかった。

 「手荒い方法で成立しても、失言や暴言が飛び出しても、時がたてば国民は忘れ、支持率は回復する」-そんな高慢な姿勢さえ見え隠れした。

 安倍氏は今後、早期の内閣改造や党役員人事で態勢の立て直しを図るという。

 大事なことは「物言えば唇寒し」という空気を一掃し、自由な党内論議を保障することだ。

 個々の自民党議員に対してもイエスマンからの脱却を求めたい。

 臨時国会召集を求めている野党には、行政権の肥大化をチェックする役割を果たす責任がある。

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 都議選ではっきりしたのは、安倍内閣の高支持率がもろい基盤の上に成り立っていることである。公明抜きの選挙で自民党は足腰の弱さを露呈。都民ファーストの会のような受け皿があれば、国政でも勢力図は一気に逆転する。

 安保法制や辺野古新基地建設で民意との乖離(かいり)が指摘されたように、安倍氏への支持は絶対的なものではなく、受け皿欠如がもたらしたものだ。

 日本の政治は大きな曲がり角に差し掛かっている。行政府の暴走を食い止めるためチェック・アンド・バランスの機能を回復させることが何より重要だ。