県の2015年度当初予算案は前年度に比べ3・1%増の7465億円で、過去最高額を更新した。

 「アジア経済戦略構想」を具体化するための調査費や、ワシントン駐在員を設置するための経費など、選挙公約を実現するための予算を盛り込む一方、前県政で計上されていたカジノ調査費を廃止し、翁長カラーを打ち出した。

 内閣府沖縄担当部局の沖縄振興予算案は前年度に比べ4・6%減の3340億円にとどまった。新知事に対する露骨な冷遇予算だったが、県予算案は7年連続で前年度を上回っている。なぜそうなったのか。

 この予算案には財政依存、基地依存からの脱却を図るためのヒントが隠されている。

 県の歳入を見ると、依存財源である国庫支出金は前年度に比べ3・6%減った。その半面、県内景気が回復したことや消費税増税の影響で自主財源である県税収入は10・6%も伸びている。

 税収が増えた結果、歳入全体に占める自主財源の割合は、前年度より3・6ポイント改善され、30%となった。

 民間主導の自立型経済の構築が進めば企業収益が改善され、税収が増える。自主財源を増やしていくことで国への依存度を下げ、県の自由度を高める。この軌道を着実に踏み固めていくことが大切だ。

 国の財政に頼り切って自前の努力を怠ったり、基地維持のためのアメにすがって依存体質から抜けられないようでは、沖縄の未来はない。

 15年度当初予算案は、自立の鉱脈を掘り当てるための予算だと位置付けたい。

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 政府は15年度の沖縄振興予算を減額した理由について、予算計上した一括交付金に不用額や繰越額が多いことを挙げた。事業効果の見極め、執行体制の強化が欠かせない。

 歳出は社会保障関係費が増えたこともあって、244億円の収支不足が生じ、基金を取り崩して対応することになった。

 社会保障関係費が年々、拡大傾向にあるのが気になるところだ。財政状況の推移には注意が必要である。

 翁長県政は米軍普天間飛行場の辺野古移設に明確に「ノー」と言い、その一方で、経済振興にも同等に力を入れる。かつての保守県政とも革新県政とも異なる新しいタイプの県政だ。

 新基地建設やカジノに対するスタンスは前県政と大きく異なるが、「21世紀ビジョン」の施策実現を目指すという点では前県政と変わらない。継続事業が多いのはそのせいである。

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 翁長県政が公約を実現するためにはかつてのどの県政とも異なる手法が求められる。

 経済施策がおろそかになって停滞すれば保守支持層の離反や経済界の反発を呼び、辺野古問題でモタモタすれば革新支持層、市民団体の翁長離れを招きかねない。

 施策の優先順位と目標をはっきりさせ、スピード感を持って行政運営に当たることが大切だ。

 知事に求められるのは、民意に支えられた「挑戦の気概」である。