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  • 県に報告された高齢者虐待。2012~16年の度被害者は少なくとも41人
  • 虐待で最多はネグレクトで、全体の25%。体の一部が壊死した例も
  • 過重業務で離職者が相次ぎ、職員に知識などが身に付かない悪循環に

 2012年度から16年度の5年間に沖縄県内の市町村が「高齢者虐待があった」と認定し、県に報告したのは14介護施設・事業所あり、被害者は少なくとも41人いたことが沖縄タイムスの情報開示請求で分かった。発生要因は「職員の知識・技術不足」が11施設で挙げられ、大半は「人手不足」が根底にある。虐待は判明しているだけでも、9施設で職員体制が手薄になる「夜勤時」に起きていた。(社会部・篠原知恵、新垣綾子)

(資料写真)

虐待の種別(計14人)

人手不足を除く主な虐待要因(計14施設)

(資料写真) 虐待の種別(計14人) 人手不足を除く主な虐待要因(計14施設)

 県に提出された「高齢者虐待報告書」の記述欄などを基に、本紙が独自に分析した。

 被害者41人のうち36人が認知症(日常生活自立度2以上)で、ケアマネジャーの通報で発覚するケースが最多。被害者本人の通報はゼロだった。虐待を疑う通報が寄せられても被害者が認知症で暴力を受けた詳細を話せず、認定まで至らなかった事例もある。表面化していない被害は、さらにあるとみられる。

 虐待の種別は、投薬やオムツ替えをしないなどの「介護の放棄・放任」(ネグレクト)が10人で全体の25%を占めて最多。身体的虐待と心理的虐待、ネグレクトの被害が重複して認定された高齢者も3人いた。

 職員全員のネグレクトとみなされた地域密着型介護老人福祉施設では、重度認知症で寝たきりの80代女性の床ずれを放置し、仙骨部を壊死(えし)させた。女性は骨の露出部から感染し、高熱で入院した。

 発生要因は「職員の知識・技術不足」が最も多い。職員が70代男性の顔面を拳で殴った訪問型サービス事業所では、人手不足による業務の過重負担から離職者が相次ぎ、介護知識や技術も身に付かない悪循環に陥っていた。

 虐待への認識が希薄で、夜間の人手不足で手が回らなかったため、80~90代の認知症高齢者のベッドを柵で囲い込み、身体拘束していた住宅型有料老人ホームもあった。

 このほかの要因として「職員同士のコミュニケーション不足」が5施設、「(教育担当・相談相手となる)指導者の不在」が3施設あった。複数の要因が絡み合った事例も目立つ。

 虐待のあった施設形態は住宅型有料老人ホームと、有料老人ホームが4施設ずつで最も多かった。

 被害者41人中、年齢は75~79歳が2割超の9人で最多。自力歩行が難しく、排せつや入浴に介助が必要な「要介護度3」の高齢者が15人で4割近くを占めた。

 障がい高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)はB以上が29人で、ベッド上の生活が主な高齢者が7割を超えた。性別は女性が63・4%(26人)だった。