北朝鮮は4日午後、国営メディアを通じ「特別重大報道」として、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に「成功した」と宣言した。「核戦力完成のための最終関門だ」とも伝えている。

 防衛省によると、4日午前、北朝鮮が弾道ミサイル1発を日本海に向け発射。約40分間飛(ひ)翔(しょう)し、日本海の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

 米国は当初ICBMではなく中距離弾道ミサイルとしていたが、北朝鮮の発表を受けて詳しい分析を続けている。

 北朝鮮の発表が事実なら、なぜこの時期を狙ってICBMの発射実験を行ったのだろうか。

 米中、米韓の閣僚対話や首脳会談などが相次いで開かれたが、対北朝鮮政策で足並みの乱れが生じていると見て、間隙(かんげき)をつく狙いがあったのかもしれない。

 文(ムン)在(ジェ)寅(イン)韓国大統領は6月、トランプ米大統領と就任後初会談。文大統領は北朝鮮の核・ミサイル「凍結」を前提としながらも、「対話」による打開策を見いだそうとしている。これに対しトランプ大統領はオバマ前政権の「戦略的忍耐」の時代は終わった、と圧力を強化する考えである。

 米中関係もぎくしゃくしている。6月に開かれた閣僚級の「外交・安全保障対話」。核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応が主な議題だったが、影響力を行使して圧力をかけるよう迫る米国に対し、中国は北朝鮮の暴発を恐れ追加制裁に及び腰。業を煮やした米国は北朝鮮の核開発を支援した中国の銀行を初めて制裁対象にした。

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 トランプ大統領は北朝鮮のICBM保有阻止に向け、軍事力の行使も辞さない構えだ。核・ミサイル開発をやめない北朝鮮をけん制するため、今年4月から5月にかけ原子力空母2隻を半島周辺に展開したが、対北朝鮮政策が固まっているわけではない。

 北朝鮮のICBM開発・完成を米国はレッドライン(越えてはならない一線)と明確にはしていないが、大きな限界を超えたことは間違いないだろう。北朝鮮が東北アジアの緊張を高め米韓などと偶発的な軍事衝突を引き起こしかねない事態を懸念する。

 6カ国協議を構成する国にも温度差がある。日本は「圧力」強化の立場だし、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国と、ロシアは「対話」による解決策を目指している。現状は大国が北朝鮮に翻弄(ほんろう)されているような印象を受ける。

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 7日からドイツで始まる20カ国・地域(G20)首脳会合では日米韓首脳会談、米中首脳会談が決まっている。日中首脳会談も調整されている。

 暴挙に対抗するためには関係国が協調して取り組むことが不可欠である。日米韓中ロの5カ国が共通認識の下、「対話」と「圧力」を強めていく必要がある。

 日本は北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため、関係国の利害を調整し、結束を図る接着剤の役割を担うべきだ。北朝鮮は「在日米軍基地も標的」と挑発している。対話路線が破綻すれば危険が及ぶのは他ならぬ沖縄である。