那覇市から南西約350キロ。宮古島と石垣島の中間に位置する多良間島。村の人口は約1200人。サトウキビや葉タバコ生産のほか畜産も盛んな「農業の島」だ。

多良間ピンダを飼育する農家。島ではピンダを活用した地域興しが進む=2月10日、多良間村塩川

多良間ピンダを飼育する農家。島ではピンダを活用した地域興しが進む=2月10日、多良間村塩川

 村は2010年、県内自治体で唯一、NPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟した。同連合は貴重な地域資源がありながら過疎に直面する農山漁村の景観や文化を守り、自立を目指す運動を進めている。全国53の町村・地域がスクラムを組む。村の豊年祭(八月踊り)の伝承や保存、琉球風水思想に基づいた「抱護林」の植栽などの生活に根差した集落の景観保全の取り組みが評価され加盟に至った。村は「『美しい村』の理念の下、地域のブランド力をいかに高めるかが発展の鍵を握る」とする。

 多良間ブランドの確立のために関係者の取り組みが続く中、村は10年前からピンダ(ヤギ)による島興しを図ってきた。頭数は減少傾向にあるが、現在約800頭のヤギが飼育されているという。村は2005年度に多良間ピンダの特産品づくりに取り組み、06年には生産組合が発足。10年7月からはピンダを戦わせる「ピンダアース大会」を催している。

 村は今後、ピンダの島外への出荷も視野に血統の改良から管理体制を構築することで増産や大型化を進める「飼育者への支援」に取り組む方針だ。現在の「半放牧状態」の飼育法を抜本的に変える必要があるという。島内での取引価格は1キロ当たりの成体でオスが800円程度。この価格から県内セリ市場の価格1300円程度を目指したいという。観光資源としての活用もこれから。伊良皆光夫村長は「観光客にピンダと触れ合う癒やしの場を提供したり、ピンダを味わうことができる場づくりなども展開していきたい」と話す。

 ピンダのほかにも昨年、国は村の特産であるサトウキビ生産農家全戸を「エコファーマー」として認証。「エコ黒糖」を売り出すなど島はブランド力を着実につけている。

 年間の入域観光客数は6千人。村は1万人を目指し、来年度に初めて観光振興総合計画の策定にも取り組む。村観光振興課は「村民全体が足並みをそろえ、一丸となって多良間を発信する必要がある」。内外に誇れる「美しい村」を目指して関係者の模索が続いている。(宮古支局・新垣亮)=おわり

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 沖縄タイムス社ふるさと元気応援企画「沖縄の奥、島の奥。おくなわの観光・物産と芸能フェア」が13日から3日間、那覇市のタイムスビルで催される。離島5村の特産品を販売するほか、14日には芸能公演も行われる。問い合わせは沖縄タイムス社、電話098(860)3000。