このままでは3年後、全国で保育士が7万人近くも足りなくなるという。待機児童解消に向けた受け皿整備が進む一方で、保育士の処遇改善が遅れているためだ。

 厚生労働省によると、2013年度時点で、保育所で働く保育士は約38万人。保育のニーズがピークを迎える17年度末には約46万人が必要となる。これから増える分を差し引いたとしても約6万9千人が不足する見通しだ。県内でも2千人余りが足りなくなると推計される。

 保育士は、特に女の子のあこがれの仕事で、なりたい職業の上位にランクされることが多い。現役保育士からも、子どもが好きで、子どもの成長にやりがいを感じるとよく聞く。それなのになぜ、足りなくなるのか。

 厚労省の賃金構造基本統計調査から保育士の平均給与をみると、月額約21万円で、全ての職種の平均より10万円以上も低い。平均勤続年数も7・8年と短く、せっかく資格を取得しても5年未満で離職する人が半数に上っている。

 志や意欲とは別に、人手不足で余裕が持てず、給与の低さから働き続けることが困難な状況が読み取れる。

 安倍政権は17年度までに保育の受け皿を40万人分増やす「待機児童解消加速化プラン」を掲げている。しかし、いくら保育所を作っても、保育士がいなければ子どもを預かることはできない。

 子どもの世話をし、成長を助ける保育士の確保と処遇の改善は、先延ばしにできない課題である。

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 保育士不足への対応として、政府は「資格取得の国家試験を現行の年1回から2回に増やす」「受験者が事前に講座を受講する場合の費用の半額を補助する」などの施策を示している。資格を取りやすくすることで、新たな人材確保を目指す考えだ。

 国が4月から始める「子ども・子育て支援新制度」でも、職員の経験に応じた処遇改善が図られる。15年度は保育士の給与を1人当たり3%アップ、勤続年数が11年を超えれば4%引き上げる。

 働き続けられる賃金水準にはまだ開きがあり、定着率アップへの効果を検証しながら、さらなる改善を求めたい。

 「賃金が合わない」などを理由に、保育の仕事に就いていない約60万人の「潜在保育士」の活用にも知恵を絞る必要がある。

 やはり優先すべきは処遇改善だ。

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 保育士の仕事をめぐっては、非正規雇用など雇用情勢の悪化も目立つ。県内では認可保育所で働く保育士のうち、正規はわずか4割。そのため県は来年度から非正規の正規化を助成する事業を始める。保育所の自助努力には限界があり、保育士の定着につながる取り組みは重要だ。

 待機児童がクローズアップされて以降、保育の「量」に社会の目が向き、処遇改善といった「質」の課題が後回しにされてきた。

 働く親たちを支える保育士を支えていくことに、もっと力を注がなければ、待機児童の問題は解決できない。