横浜市教育委員会が、基地問題を題材にしたドキュメンタリー映画「標的の村」の後援を撤回した(14日付26面)

▼映画は東村高江のオスプレイ着陸帯建設に反対し、座り込んだ住民を取り上げる。優れた作品としてテレメンタリー年間最優秀賞、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞ほか数々の受賞歴を持つ

▼撤回の理由についての市教委の説明が映画の公式サイトで紹介されている。「中立性の観点から、オスプレイ配備について賛成、反対の判断をしているように見えるかもしれない上映会の後援をするのは不適切だと判断しました」

▼ただ市教委は判断に当たり映画を見ていない。判断材料は映画を見たと主張する人から寄せられた延べ20件の批判。市教委の担当者は「メールが十数件、電話は私が応対したものだけで4~5件あった」と答えている

▼けれど同じ映画を見ても感想が千差万別であることは、一度でもほかの誰かと一緒に映画鑑賞した人なら分かるだろう。一部の批判のみを判断のよりどころとするにはあまりに「非中立」だ

▼この映画に関しては逆に、作品の公共性への評価が圧倒的に高いことは公開以降の受賞歴や各地で自主上映されていることで明らか。不明瞭な批判で判断する市教委の対応に「中立」を隠れみのにした言論の封殺を感じずにはいられない。(黒島美奈子)