代々剣道を志す家に生まれた青年・研吾(けんご)は、幼い頃から厳しい父親の指導の下、腕を磨き続けた。成長とともに、理不尽な父の言動に憎しみを増幅させていたある日、父親との言い争いの末、事件を起こしてしまう。以来剣道をやめてしまった。

「武曲 MUKOKU」

 一方、剣道とは無縁に生きてきた高校生・融(とおる)は、偶然剣道の師範にその才能を見いだされ、水を得た魚のように弾けんばかりの若い肉体を爆発させ、稽古に打ち込む日々を送っていた。

 その道を志し、鍛錬を重ねることで人間を形成していく剣道だが、元は人をあやめる武術。やがて二つの才能は、お互いの血の匂いに引き寄せられるように出会い、研吾は再び剣をとる。死を強く意識し、死に魅了されながら剣を交える危険で悲しく美しい男たちが、正しく幸せに生きて欲しいと願い続ける2時間。(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で8日から上映予定