【森田のりえ通信員】昨年の10月、北米沖縄県人会館で開かれたバザーの舞台から沖縄生まれのアル・ムラツチカリフォルニア州下院議員(50)が訴えた。「名前はヤマトゥンチュですが、心はウチナンチュウです。揺れ動く多様な社会で大切なことは自分たちの存在や要求を主張できる代弁者を州議会に送ることです」-。

左から3番目がアル・ムラツチ加州下院議員(当時)、1人おいて国吉会長ら県人会のメンバー=2014年10月

 父母ともに岐阜県出身。父親が米政府の行政官として沖縄に赴任しているころムラツチさんは生まれた。クバサキハイスクール卒業後に渡米。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などで法学博士を取得。検察官となり2012年に加州下院議員になる。偶然、ムラツチさんと知り合った沖縄県人会会長の國吉信義さんは、ハイスクールの恩師が元衆議院議員で前沖縄市長の東門美津子さんだと知り、連絡をとった。

 「アル? 私たちはアルバートと呼んでました。覚えていますよ。彼はとても誠実で優秀な生徒でした。会いたいですねぇ」と東門さん。

 國吉会長は、昨年の11月4日、オバマ大統領の残り任期の成果を左右する中間選挙で二期目を目指して立候補したムラツチさんが再選されたら、東門さんとムラツチさんをインターネット映像でつなぐ段取りまでつけていた。

 おりしもオバマ大統領支持率は4割前後。民主党ムラツチ議員にとっては逆風である。資金量が豊富な相手候補に対して、ムラツチさんは資金力に限界があった。

 11月4日、投票率は3割。即日開票では、相手候補に追い抜かれたり、追い越したり、同点になったりした。翌朝の結果は獲得票の差は1~2%で対抗者優位。だが郵便投票による暫定票がある。12月中旬まで開票作業は続いた。結果、わずか0・5%の差でムチツチさんの再選はならなかった。

 沖縄の心を持つムラツチさんは、現在、加州副司法長官の職にある。沖縄県人会新年会で新役員がステージに並び、ムラツチさん立ち会いの下、職務を全うする宣誓式を行った。16年の選挙を目指して、すでに動き始めているのは、言うまでもない。