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  • 辺野古埋め立て承認取り消し訴訟の構図が変わった
  • 承認は適法としていた県は知事の交代で沈黙
  • 適法とする国と住民の一騎打ちが始まる

 辺野古新基地建設をめぐる埋め立て承認取り消し訴訟の構図が、承認見直しを掲げた翁長雄志知事の就任で変化している。建設容認の前県政では“後方支援”に専念していた国が、当事者として表舞台に登場、役者がそろった。一方で県は、翁長知事のスタンスが定まらず、承認に「問題なし」とも「あり」とも主張できない。八方ふさがりの県を尻目に、住民と国の一騎打ちが始まる様相だ。(社会部・下地由実子、政経部・篠原知恵)

辺野古埋め立て承認取り消し訴訟の構図

■崩れた蜜月

 4日、那覇地裁が国の当事者参加を認めた初めての弁論。県と国の代理人であふれ返る被告席へ、住民側から激しい非難が飛んだ。「県の代理人だった人が国の代理人もする。弁護士なら利益相反で懲戒だ。国なら何をしてもいいのか」

 住民らによる提訴は昨年1月。県から要請を受けた国は訟務検事らを派遣し「承認に問題なし」とする書面を作成するなど、県を全面支援してきた。

 しかし“蜜月関係”は翁長氏の知事就任で崩壊。昨年11月、知事選の結果が出るやいなや国は当事者参加を申し立てた。どう県が方針を転じても、建設の根拠となる承認が「適法」と主張できる立場を先んじて確保する狙いがにじむ。

■珍しい事態

 主役ながら、トップが交代した県は身動きがとれない。承認の法的な瑕疵(かし)を検証する「第三者委員会」は発足したばかり。承認は法的に「問題あり」か「なし」か。知事のスタンスは固まらず、結論が出る見通しの7月初旬まで「主張しない」という苦肉の策で乗り切る構えだ。

 昨年11月から次々回6月の弁論まで、半年以上の沈黙は確実になった。行政法に詳しい立命館大法科大学院の湊二郎教授は「承認は有効のままなのに、自治体が何も主張しないというのは珍しい事態」と指摘、県の姿勢を疑問視する。

 他方、訴えられた立場の県は、自ら訴訟を降りることもできない。県幹部は「住民と国の戦いを傍観しているように見られるのも嫌だが、今は何もできない」と頭を抱える。

■独自に主張

 県の沈黙に、住民側は「仕方ない」(弁護士)と一定の理解を示すものの、「承認がある限り、訴訟は取り下げない」考えだ。

 次回から、国は独自に「承認に問題なし」との主張を全面展開するとみられる。海上での埋め立て工事が迫る中、県を置き去りにして、住民と国との戦いが法廷でも繰り広げられることになりそうだ。