今から20年前、本島中部にあるアンティークショップで1930年代のSPレコードを蓄音機で聴かせてもらったことがある。響きの力強さ、音色のふくよかさに驚いた。日本で蓄音機が紹介されたのはエジソンが録音・再生実験に成功した2年後の1879年(倉田喜弘「日本レコード文化史」)

▼以降、人々が音楽を楽しむ主要な手段として普及したアナログレコードも、CDの登場やインターネットによる音楽配信サービスなどに押され、いつしか家庭から姿を消した

▼1979年に約1億9800万枚だった生産量は、2009年には10万2千枚と激減。ところが近年需要が伸び、16年は79万9千枚で、09年の約8倍に

▼6月末には、ソニーが30年ぶりに国内でのレコード自社生産再開を発表した。最盛期には遠く及ばないものの、アナログレコードの再評価の機運が高まっている

▼RBCiラジオの長寿番組「民謡で今日拝なびら」でパーソナリティーを務める上原直彦さんは、形のない音楽に手触りと重さを与えるアナログレコードの魅力を「物があれば、音楽に込められたメッセージがしっかりと受け止められるのでは」と説明する

▼デジタル化されインターネットから配信される膨大な数の音楽を「聞き流す」のではなく、1曲1曲に「向き合う」。音楽のそんな楽しみ方が広がるといい。(玉城淳)