内閣府が県内の専門学校生を対象にした給付型奨学金を創設する。300人規模を想定した予算を来年度概算要求に盛り込む方針だ。

 貧困対策を沖縄振興のテーマに位置付け、若者が学ぼうとする意欲を後押しする意義ある一歩である。

 沖縄振興審議会の人材育成に関する報告を踏まえ、鶴保庸介沖縄担当相が独自の支援策として発表した。

 返済不要の給付型奨学金については、将来の沖縄経済を担う若者を育てるため、主として観光や情報通信分野の専門学校生を対象とする考えだ。政府が来年度本格実施する同様の制度を参考に、月2万~4万円を給付する見込みという。

 2016年度学校基本調査によると県内の大学・短大進学率は39・2%で全国最下位。他方、高校卒業者の専門学校進学率は26・7%で全国平均を10ポイントも上回っている。

 即戦力として活躍できる人材を養成する専門学校への進学率が比較的高い現状と、リーディング産業を支える人材確保という両面からの制度化である。

 学科によって大きく異なるが、入学金を含む専門学校の初年度納入金は平均100万円を超える。

 子どもの貧困の実態を把握するため県が実施した高校生調査で、大学・短大・専門学校に進学しない理由に「進学に必要なお金が心配」など経済状況を挙げた生徒が多かった。

 家庭の事情に左右されず若者が可能性を広げていくためにも、創設する制度を有効に機能させたい。

■    ■

 専門学校生を対象とした給付型奨学金の制度設計はこれからという。

 国の制度を参考にすれば、住民税が課税されない低所得世帯が対象となる。学業成績や部活動の実績などから対象者をどのように選定するか、公平性の担保も今後の課題となる。

 高校生調査で困窮世帯の生徒の半数近くが「現在あるいは過去にアルバイトの経験」があり、それも「週4日以上」が半数を超えていた。

 苦しい家庭で育つ生徒ほどアルバイトに時間を奪われ、成績が振るわないという現実があり、選考には慎重さも求められる。 

 さらに内閣府が想定する300人でカバーできるのかの実態把握も必要だ。機会の平等を図るのであれば、観光やIT分野以外にも広く門戸を開く必要がある。

■    ■

 厚生労働省が発表した15年時点の子どもの貧困率は13・9%で、過去最悪だった前回より2・4ポイント改善した。

 沖縄の子どもの貧困率は29・9%で、その差は歴然としている。

 沖縄振興審議会は「所得水準が低く、子どもの貧困が深刻な沖縄にとっては、人材は豊かになるための資源であり可能性である」と報告している。

 子どもの貧困対策にもつながる教育の格差是正は沖縄振興の残された課題だ。

 ハードルは高くても給付型奨学金の制度化と拡充を着実に進めてもらいたい。