中国の旧正月に当たる「春節」の大型連休が18日始まった。中国では、円安による割安感や、今年1月からの富裕層への査証(ビザ)発給条件の緩和が追い風となり、日本への旅行熱が高まっているという。中国の日本大使館や総領事館などが1月に発給した訪日ビザ件数は約25万件で1月として過去最高に上った。

 一方、多くの中国人観光客の来店を見込む日本の小売業界は「春節商戦」と位置付け活況を呈している。都内の百貨店や大型免税店では、この時期、中国人の好みに合わせた高額の福袋が並ぶ。国内消費の回復が鈍る中、購買力旺盛な中国人観光客向け商品は主力になっている。

 2014年の訪日外国人旅行者数は前年比約3割増の約1341万人と、2年連続で最高を更新した。国・地域別では台湾、韓国、中国の順に多い。中国は伸び率が最も高く、14年に初めて200万人を突破した。また、14年の訪日外国人の旅行消費総額、1人当たりの消費額はともに過去最高額を記録。中国は対前年2倍を超える約5600億円に上り、総額の4分の1を超える額を占めている。

 アジアの観光客増は「玄関口」の沖縄で顕著だ。14年に初めて700万人の大台に乗った入域観光客のけん引役は外国人観光客だ。前年比62・2%増の89万3500人と大幅に伸び、全体を押し上げた。国・地域別では全国同様、台湾、韓国、中国の順。中国人観光客は13年に落ち込んだものの14年にV字回復し、前年比約2・4倍で過去最高の11万3400人に上った。

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 中国人観光客増加の背景には、中国政府の対応の変化があることにも留意すべきだろう。政府間の関係悪化が、民間交流の断絶に直結するのが中国の特徴だからだ。

 12年の日本政府による「尖閣国有化」以降、中国との交流は民間レベルでも一気に冷え込んだのは記憶に新しい。

 領土問題や歴史認識をめぐる政治のあつれきを越え、大国となった隣国にどう向き合うかが問われている。

 気になる世論調査結果がある。14年に日中両国で行われた調査で、相手国に「良くない印象」を持っていると答えた人は、日本が前年比2・9ポイント増の93・0%となり05年の調査開始以来、過去最悪となった。一方、中国側は同6ポイント減の86・8%で対日感情はやや改善した。

 国民感情が悪化し、地域の安全保障環境を損なうことでデメリットを被るのは、われわれ自身である。

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 人もマネーも商品も国境を越えるのが当たり前の時代となっている。この流れは止められず、今後ますます活発化するだろう。日中両国は好むと好まざるを得ず、既に「互恵関係」にあるのが現実だ。

 日中韓の3カ国は近く外相会談を開く方向で調整を進めている。安倍晋三首相、中国の李克強首相、韓国の朴槿恵大統領による首脳会議の開催も模索中という。戦後70年を迎えて中韓は歴史認識をめぐる安倍首相の対応に神経をとがらせている。政治が隣国との互恵関係の足かせとならないことを切に願う。