翁長雄志知事は19日開会した県議会2月定例会で、県政運営の基本方針を示す所信表明演説を行った。

 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設について「建白書の精神に基づき、反対し、県外移設を求める」と述べた。

 就任後初となった昨年12月の県議会での所信表明に沿うものだが、新基地建設反対を県政運営の最重要課題に位置付けていることを、あらためて強調したものだ。

 翁長知事は、就任後初の予算編成で公約に掲げた新たな施策に着手し、「誇りある豊かさの実現に確かな道筋を付ける年にする」と決意を示した。

 翁長知事の言う「誇りある豊かさ」とは、辺野古新基地建設に明確に反対する一方で経済の振興も同等に推進していくという考え方だ。

 基地反対と経済振興というある意味で「二兎(と)を追う」というこれまでにない形の県政運営を目指すものだ。かつては二者択一を迫られた課題実現にどう道筋を付けるのか。

 新基地建設反対では、前知事の埋め立て承認を検証する第三者委員会による審査が鍵をにぎる。所信表明では第三者委の報告を踏まえ、「取り消し、撤回を検討する」と言明した。

 経済振興では「アジア経済戦略構想」の策定を柱に据える。構想では国際物流拠点の形成や観光リゾート産業、情報通信産業など、リーディング産業の拡充・強化を進めることを表明した。この2本柱の達成が、翁長県政の大きな課題となる。

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 翁長県政の前に立ちはだかる壁は、強硬一点張りの安倍政権である。選挙で示された民意を無視し、問答無用の姿勢で辺野古移設工事を強行している。安倍晋三首相は12日の施政方針演説で「裏付けのない言葉ではなく実際の行動で基地負担の実現に取り組む」と、威圧的とも取れる表現で反対意見をけん制した。

 翁長知事は所信表明で普天間の危険性除去を「県政の最重要課題」と位置付け、「5年以内の運用停止を含め、政府と調整していく」と述べ、辺野古移設を前提としない運用停止の実現に取り組む姿勢も示した。

 普天間の危険性除去について政府は、「辺野古への移設が唯一の選択肢」という考えを繰り返している。しかし、翁長県政の誕生で沖縄の政治状況は変わっており、政府は危険性除去を辺野古移設の目的とするような考えを改めるべきである。

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 すでに「アジア経済戦略構想」の策定委員会が始動している。7月までに構想と具体的な事業計画を策定する方針だ。

 他方、新基地建設に反対する抗議の座り込みが続いている辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前では19日、国が市民らが設置したテントの撤去を求めるなど、緊迫感が高まっている。

 翁長知事の目指す「誇りある豊かさ」を実現するためには、基地政策と経済政策を車の両輪として、いずれもスピード感を持って推進することが不可欠だ。